キュート先生の『肺癌勉強会』

肺癌に関連するニュースや研究結果、日常臨床の実際などわかりやすく紹介

【Oncology Tribune 連載24回目】PS不良例にオシメルチニブ使っています?

肺癌, 肺癌勉強会, オシメルチニブ, タグリッソ, Osimertinib

『Osimertinib for Patients With Poor Performance Status and EGFR T790M Mutation-Positive Advanced Non-Small Cell Lung Cancer: A Phase II Clinical Trial』(Investigational New Drugs 2020より)

医療情報サイト『Oncology Tribune』に論文レビューを寄稿しました。

キュート先生の視点

現在、上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性非小細胞肺癌に対して第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)オシメルチニブを使用する場面は、1次治療、あるいは2次治療以降で前治療として第1,2世代EGFR-TKIを使用後に耐性遺伝子であるT790M変異を検出した後となる。その効果の高さとコントロール可能な有害事象の頻度から、あらゆるEGFR遺伝子変異陽性症例に使用したいところではあるが、報告されている臨床試験には高齢者やPS不良者に対するデータに乏しいのことが問題。

 今回、18例と少ない症例ではあるが、本邦からの研究でPS 2以上のT790M耐性遺伝子変異が検出されたEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌に対するオシメルチニブの効果と安全性を見た第2相試験について取り上げた。

 本研究の主要評価項目であるPFSの中央値は7.0カ月(95%CI 5.5~11.0カ月)。奏効率は53%、全生存期間は12.7カ月であった。また症例の72%でPSスコアが改善していることは驚きの結果であった。

 

 同じセッティングである第3相の『AURA3試験』(NEJM 2017; 376: 629-640)のPFS中央値は10.1カ月であり、もちろん単純比較はできないが、本研究で示された7.0カ月は期待できる成績なのではないかと感じる。また間質性肺炎の発症も18例中3例で16%とやや多く観察されているが、PS不良例であるので予想範囲内と捉えられる。今まではPS不良例におけるオシメルチニブのデータが乏しかったため、実臨床でデータを示すことができなかったが、少数例でも実臨床に即していると考え紹介した。

 

 詳細は『Oncology Tribune』に図表と共に掲載されています。