キュート先生の『肺癌勉強会』

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【Oncology Tribune 連載25回目】小細胞肺がんの治療選択肢にナブパク?

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『Nab-paclitaxel Monotherapy for Relapsed Small Cell Lung Cancer: Retrospective Analysis and Review』(Anticancer Res 2020;40:1579-1585)より

医療情報サイト『Oncology Tribune』に論文レビューを寄稿しました。

キュート先生の視点

小細胞肺がんに対しナブパクリタキセル(アブラキサン®)は適応なし。

ですので予め注意が必要です。

 

小細胞肺がんは免疫チェックポイント阻害薬が使用可能になったとはいえ非小細胞肺がんに比べて治療選択肢が限られており、特に一次治療、二次治療と行ってさらに病勢増悪してしまった症例では頭を悩ませてしまうケースが多いもの事実。

 

本研究は、そんな治療選択肢に数限りがある再発性の小細胞肺がん症例に対して行ったナブパクリタキセル単剤治療について後ろ向き解析である。

 

われわれ臨床医の臨床経験として、ナブパクリタキセルは大きな有害事象がなく、特に高齢者や間質影が認められるような症例でも使用できる数少ない薬剤のうちの1つとして重宝している。また骨髄抑制が懸念されるような場合でもDAY1、8、15と1週間ごとに投与を分けることができ、場合によっては治療を中止して調整もできるので、有害事象が起きた場合でも重篤化することは少ない治療薬と捉えられる。

 

本研究でも、ナブパクリタキセル投与は後の後治療になっており、小細胞肺がんに対する効果が認められている他の治療薬を押しのけるだけのエビデンスではない。しかしながらこのような少数例の報告でも過去の報告と合わせて、治療選択肢の少ない小細胞肺がんに対する治療適応が認められれば患者さんにとってはメリットがあるのでは、と思い取り上げた。

 

詳細は『Oncology Tribune』に図表と共に掲載されています。