キュート先生の『肺癌勉強会』

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【CCC19】COVID-19発症のがん患者での30日死亡リスク因子

肺癌, 肺癌勉強会, 新型コロナウイルス, COVID-19

Clinical impact of COVID-19 on patients with cancer (CCC19):a cohort study (Lancet 2020,Published Online May 28, 2020)より

まとめ

  • 新型コロナウイルス感染症を発症したがん患者さんでは「高齢」「男性」「過去喫煙者」「2つ以上の併存症」「PS不良」「がん活動性」で30日死亡リスクが高い

要約

〇2020/3/17-4/16にアメリカ、カナダ、スペインで新型コロナウイルス感染症を発症したがん患者928例を抽出。

〇『COVID-19 and Cancer Consortium database』を使用。

〇主要評価項目はCOVID-19診断から30日以内のあらゆる原因の死亡率。

〇全928例の患者背景は年齢中央値 66歳、男性50%、がん種類:乳癌 21%、前立腺がん 16%、胸部がん 10%。寛解例 45%、活動性がん 39%。

〇COVID-19診断4週以内に抗がん剤治療を受けていた症例 39%、殺細胞性抗癌剤治療を受けていた症例は抗がん剤治療を受けている症例のうち44%。

〇2020/5/7時点で13%が死亡。

〇COVID-19診断後30日死亡リスクと関連した因子は「年齢」「男性」「喫煙歴」「併存症」「PS」「がんの状況」「COVID-19の治療内容」「居住地」

キュート先生の視点

今年に入ってから数多くの新型コロナウイルス感染症の論文が報告されている。有名なメジャージャーナルにも取り上げられて、中でも「がん」+「COVID-19」に関連する論文に関しては当ブログ『肺癌勉強会』でも取り上げていきたい。

 

ただその時期の状況、各国の現状、医療機関の予備能力、治療薬の使用の可否、などなどが重なって、現在の日本の医療状況に当てはめていいかどうかは分からない。十分注意して解釈する必要があると考える。

 

今回の論文でも高齢、喫煙歴、PSなどの多くの死亡リスクに関する因子が出されているが、考えてみれば当たり前な因子ばかり。今の日本は少し感染が落ち着いており、経済が再開しようとしているところではあるが、今後もがん診療を行う身としては注意して観察していきたい。