キュート先生の『肺癌勉強会』

肺癌に関連するニュースや研究結果、日常臨床の実際などわかりやすく紹介

【Oncology Tribune 連載26回目】抗菌薬や胃薬を使用している非小細胞肺がんでは免疫治療の効果が薄い

f:id:lung-cancer:20200525092047p:plain

『Efficacy of Chemotherapy and Atezolizumab in Patients With Non-Small-Cell Lung Cancer Receiving Antibiotics and Proton Pump Inhibitors: Pooled Post Hoc Analyses of the OAK and POPLAR Trials』(Ann Oncol 2020;31:525)より

医療情報サイト『Oncology Tribune』に論文レビューを寄稿しました。

キュート先生の視点

 近年、腸内フローラが抗がん薬や免疫療法の治療効果に関連しているとの研究がある。いくつの後ろ向きデータや小さな研究では、免疫療法中に抗菌薬を投与された肺がん、腎がん、悪性黒色腫、膀胱がんなどの患者において、免疫療法の効果が減弱したと報告されている。また、プロトンポンプ阻害薬(PPI)も腸内フローラの異常(dysbiosis)と関連しているといわれている。

 

 今回、非小細胞肺がんに対する免疫治療として抗PD-L1抗体アテゾリズマブの効果を見た第Ⅲ相試験OAK(Lancet 2017; 389:255-265)と第Ⅱ相試験POPLAR(Lancet 2016; 387: 1837-1846)のデータをプールしたポストホック解析が行われたので勉強してみた。

 

最近、肺がん治療において免疫チェックポイント阻害薬を使用するケースが増え、特にプラチナ併用化学療法と免疫療法を併用すると骨髄抑制のリスクが上がり、同時に抗菌薬の使用頻度も増えることが予想される。そこで、腸内フローラと効果の観点から、適切な骨髄抑制の管理が今後の肺がんの治療成績を向上する上で大事なポイントの1つとなりそうなのでここで紹介した。

詳細は『Oncology Tribune』に図表と共に掲載されています。