キュート先生の『肺癌勉強会』

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【Oncology Tribune 連載29回目】高齢小細胞肺がんの二次治療での予後予測因子

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『Survival and Prognostic Factors in Elderly Patients Receiving Second-Line Chemotherapy for Relapsed Small-Cell Lung Cancer: Results From the Japanese Joint Committee of Lung Cancer Registry』(Lung Cancer 2020;146:160)より

医療情報サイト『Oncology Tribune』に論文レビューを寄稿しました。

キュート先生の視点

小細胞肺がんでは二次治療に関しては確立されたエビデンスが乏しく、アムルビシン単剤、プラチナ+エトポシドあるいはイリノテカンの一次治療で使用していないレジメン、そしてノギテカン単剤と治療方法も限られております。

 

ほとんどの症例で重喫煙歴があり、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎、心血管障害、脳血管障害などの喫煙に関連する併存症が多いことも小細胞肺がんの特徴です。

 

そのような小細胞肺がんの高齢者症例を集めたわが国での「Japanese Joint Committee of Lung Cancer Registry」で二次治療後における生存と予後予測因子について後ろ向きに検討がなされ、北里大学病院呼吸器内科准教授の井川聡先生によるLung Cancer誌の報告について勉強しました。

 

多変量解析にて予後予測因子として

  • PS
  • 早期の臨床病期
  • 一次治療から二次治療までの期間

が示されました。

 

しかしながらいずれの因子もわれわれ医療者がコントロールすることはできず、強いて挙げるとすれば早期に小細胞肺がんを発見し治療に結び付けることで、「早い臨床病期」ないしは「PS」が落ちる前に対応することができる可能性は考えられます。

 

本研究の結果が実臨床での高齢者小細胞肺がんの治療効果予測に役立つのではと思い、個々で紹介することとしました。

 

詳細は『Oncology Tribune』に図表と共に掲載されています