キュート先生の『肺癌勉強会』

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【Oncology Tribune 連載30回目】ICI治療中の非小細胞肺がんにおける肝転移は予後不良因子

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『The Efficacy of Immune Checkpoint Inhibitors in Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer With Liver Metastases』(Cancer Res Clin Oncol 2020;146:777)より

医療情報サイト『Oncology Tribune』に論文レビューを寄稿しました。

キュート先生の視点

J Cancer Res Clin Oncol誌から『The Efficacy of Immune Checkpoint Inhibitors in Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer With Liver Metastases』について勉強しました。肺がんにおいて肝転移は予後不良因子であることが広く知られていますが、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の効果と肝転移の関係について焦点を当てた論文は数が限られています。肝転移を伴った進行/再発非小細胞肺がんに対するICIの効果についての解析です。

 

都立駒込病院の単施設でICI単剤治療を受けた進行/再発NSCLC患者215例の後ろ向きに解析で19.1%に当たる41例に肝転移が認められ、肝転移のない174例と比較検討しています。

肝転移あり群となし群の比較で、

 -全生存期間(OS)の中央値:3.12カ月 vs. 11.37カ月〔HR 2.04、95%CI 1.33~3.13、P<0.001〕

 -無増悪生存期間(PFS)の中央値:1.35カ月 vs. 3.75カ月(HR 1.89、1.29~1.71、P<0.001)

という結果でした。圧倒的な差です。

 

41例と少数の症例での解析ですが、実臨床では頭を悩ませることが多い肝転移です。本研究のようなデータや予後因子があると治療選択肢を検討する際にも有用だと考え紹介しました。

 

詳細は『Oncology Tribune』に図表と共に掲載されています。