日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣範之先生の『ダイヤモンドオンライン』の記事を4回にわたって紹介します。今回が最終回になります。
勝俣先生は国立がんセンター中央病院内科レジデントから同病院の薬物療法室長などを経て現職につかれている抗がん剤治療のパイオニアとして御高名な先生です。
先日、津川友介先生、大須賀覚先生とともに書かれた『最高のがん治療』という、がん診療に携わる医療者やがん患者さん向けの科学的根拠に基づいたがんの書籍を出版され、わたくしもいつも勉強させて頂いております。
がん検診の意味
がん検診は、がんによる死亡率を下げる目的で行われており、がんの早期発見、早期治療のためではない
これは多くの医療者でも理解されていない「がん検診の意味」です。どのようながんでも、コロナウイルス感染症も含めて多くの疾患で言えることですが、検査の本当の目的を考える必要があります。ただ単に発見する、早期治療に結び付ける、だけではないのです。
『最高のがん治療』にも記載されていますが、5大がんである胃がん、大腸がん、肺がん、子宮頸がん、乳がんでそれぞれ有効性が確認されている検診があります。裏を返せばそれ以外は逆にハッキリとした有効性が示されていません。
むやみにがんを見つけに行くことは、患者さんに不利益なこともあるわけです。
これからどうやって生きていくかを考える
がんと診断され、相当な精神的ダメージを受けることは当然のことです。病気のこと、家庭のこと、仕事のこと、今後のことについて頭がいっぱいになってしまうことは自然なことだと思います。
がんといわれると「死」を意識することもあり、なかなか前を向けない方も多くおられるかと思いますが、逆に「生」を意識することにもつながります。
これからどうやって生きていくかを考える。
勝俣先生のお考えを読むとよく理解できます。
このコラムを通して、そして『最高のがん治療』という著書を通してたしく分かりやすい医療情報が広まり、がん患者さんが不利益を被ることなく生活しながら治療に専念できますよう心から願っております。