『Hospitalizations and Deaths Associated with EVALI』(NEJM 2020;382:1589)より
論文で取り上げられている「電子タバコ e-cigarette, vaping」は日本で一般的に販売されているアイコスやプルームテックのような「加熱式タバコ」とは異なりますので注意が必要です。
まとめ
- 電子タバコ関連肺障害で入院した症例は心疾患、呼吸器疾患、精神疾患などの慢性疾患の頻度が高い
要約
〇2020年1月7日の時点でアメリカのCDC(米国疾病管理予防センター)に電子タバコ関連肺障害e-cigarette, or vaping, product use asssociated lung injury(EVALI)で入院し生還した2558例と死亡した60例が報告された。
〇アメリカで調査を行い、電子タバコ関連肺障害EVALIによる死亡例と生存例の特徴を比較検討した。
〇EVALIは男性、非ヒスパニック系白人が多かった。
〇死亡例に35歳以上が占める割合(73%)は35歳未満よりも高かったが、生存例に35歳以上が占める割合(22%)は35歳未満よりも低かった。
〇死亡例では生存例よりも喘息、心疾患、精神疾患が高い割合で存在した。
〇死亡例の52%が肥満を併存していた。
〇また死亡例の46%は入院あるいは死亡前に外来受診をしていた。
キュート先生の視点
※論文で取り上げられている「電子タバコ e-cigarette, vaping」は日本で一般的に販売されているアイコスやプルームテックのような「加熱式タバコ」とは異なりますので注意が必要です。
本研究が日本で一般的に使用されているアイコスやプルームテックのような「加熱式タバコ」でも起こるかどうかに関しては今後の研究の課題となります。
呼吸器内科医として注目すべきは要約の最後に記載されている「死亡例の約半数は入院/死亡前に外来受診をしていた」という事実です。
肺疾患を見た時にこのEVALIを知っているかどうかで、この疾患を救えるかどうかが変わってくる可能性があります。特に肺疾患や心疾患を併存している方は従来の紙巻きタバコも電子タバコも注意が必要です。
そして日本で広く使われている加熱式タバコで引き起こされる肺障害に関してはまだエビデンスの少ない領域ですが、今後症例が集積し、このようなタバコによる害が明らかになってくるものと思っています。