キュート先生の『肺癌勉強会』

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全ての適応症に対して「キイトルーダ®6週間間隔投与」が承認

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『A six-weekly dosing schedule for pembrolizumab in patients with cancer based on evaluation using modelling and simulation』(Eur J Cancer 2020;131:68)より

まとめ

  • 「ぺムブロリズマブ400mgの6週間隔投与」の有効性と安全性は「200mgまたは2mg/kgの3週間隔投与」と同等

要約

〇ぺムブロリズマブ(キイトルーダ®)は多くのがん種に対して「200mgまたは2mg/kgの3週間隔投与」の用量で承認されている。

〇本研究ではモデリングアプローチにより、「ぺムブロリズマブ400mgの6週間隔投与」と従来のレジメンにおける曝露量について比較した。

〇異なるがん種に対する臨床試験を5つ選択し、あわせて2993例のぺムブロリズマブ薬物動態モデルを構築し、血清の濃度と時間のプロファイルをシミュレーションした。

〇有効性は定常状態の平均血中濃度と最低濃度の予測値で確認し、安全性は最大用量の「10mg/kgの2週間隔投与」における血中濃度を下回ることによって確認した。

ぺムブロリズマブ「400mgの6週間隔投与」による曝露量の予測値は「200mgの3週間隔投与」と同程度であった。

〇「400mgの6週間隔投与」の最高血中濃度は「10mg/kgの2週間隔投与」と比較しても十分低くなることが予測された。

キュート先生の視点

ぺムブロリズマブは現在、悪性黒色腫、非小細胞肺がん、ホジキンリンパ腫、尿路上皮がん、高頻度マイクロサテライト不安定性のある固形がん、腎細胞がん、頭頚部がん、食道がんに適応を有しています。

薬物動態(PK)のモデリング解析については詳しく知りませんが、今回のシミュレーションによって「400mgの6週間隔投与」の臨床的な有効性や安全性が従来の投与法と同等として、全てのぺムブロリズマブの適応症に対して単剤/併用療法に関わらず「ぺムブロリズマブ 400mgの6週間隔投与」が承認されました。

シミュレーションで、投与量と治療間隔の選択肢が増えましたので当ブログでも取り上げさせて頂きました。このコロナ禍でがん診療も少なからず影響を受けておりますが、がん治療中の患者さんに置かれましては、治療間隔が「6週間」でも同等の効果である、ということで通院頻度を減らすことができたり、化学療法室のような院内の滞在時間を短くすることができるメリットがあるかと思います。もちろん、投与初期は免疫治療の有害事象の確認のために投与して次は6週間後でよい、というわけにはいきませんが、このコロナ禍ではメリットが大きそうです。

実臨床では3週間隔投与で導入し、慣れたら6週間隔へ移行・・・ということにしてみようかとも個人的には思っていますが、エキスパートの先生方の意見を聞いてみたいと思っています。