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【動画】ESMO 欧州臨床腫瘍学会 明日からの肺がん診療に役立ちそうな注目演題 4選

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医療情報サイト『Medical Tribune』『Oncology Tribune』に動画投稿しました。

来週2020年9月16-21日にESMO 欧州臨床腫瘍学会2020がオンラインで開催されます。

肺がん領域からも約100演題が発表されますが、その中でも特に日本の実臨床に即しており、明日から患者さんに還元できそうな演題を4つピックアップしてみました。

 

①演題番号:LBA86

『Durvalumab (D) ± tremelimumab (T) + platinum-etoposide (EP) in 1L ES-SCLC: Characterization of long-term clinical benefit and tumour mutational burden (TMB) in CASPIAN』

9/18Mini-Oralセッションで『CASPIAN試験』の長期フォローデータになります。先日、進展型小細胞肺癌の1次治療としてデュルバルマブ(イミフィンジ®)が承認され、現在、実臨床ではアテゾリズマブ(テセントリク®)の併用療法との使い分けが気になるところですが、今回の結果が小細胞肺癌の治療選択の一助になる可能性があるとして期待しています。

②演題番号:1895MO

『Three-year Follow-up Results of the MERIT Trial: a Japanese Phase 2 Study of Nivolumab in Malignant Pleural Mesothelioma』

同じく9/18のMini-Oralセッションで、近大の林秀敏先生による悪性胸膜中皮腫の2次治療以降に対するニボルマブ(オプジーボ®)の効果を見た『MERIT試験』の3年フォローデータです。実臨床でも悪性胸膜中皮腫を診断される症例が増えてきており、今回の結果が多くの症例にとって大事なデータになることを期待しています。

③演題番号:1259O

『A randomized phase II study of osimertinib with or without bevacizumab in advanced lung adenocarcinoma patients with EGFR T790M mutation (West Japan Oncology Group 8715L)』

9/20にProffered Paper 4 - NSCLC metastaticセッションで仙台厚生病院の戸井先生によるWJOGからの発表でEGFR T790M遺伝子変異陽性肺癌に対するオシメルチニブにベバシズマブの追加効果を見た『WJOG8715L試験』の結果です。過去の研究では血管新生阻害薬の上乗せ効果は比較的高く標準治療であるオシメルチニブに対する追加効果はかなり期待しています。

④演題番号:LBA51

『KEYNOTE-024 5-year OS update: first-line (1L) pembrolizumab (pembro) vs platinum-based chemotherapy (chemo) in patients (pts) with metastatic NSCLC and PD-L1 tumor proportion score (TPS) ≥50%』

9/21のProffered Paper -NSCLC metastatic2セッションで『KEYNOTE024試験』の5年アップデートの結果が発表されます。PD-L1 50%以上の症例の1次治療でどこまで5年生存を伸ばすことができるかに注目しています。


その他、1次治療でのローラチニブとクリゾチニブを比較した『CROWN試験』やABCP療法のAをNivoに変えたケモコンボ、『PACIFIC試験』の4年フォローデータなど、興味深い演題が目白押しのESMOとなっております。

 

ただし呼吸器学会総会2020とも日程がかぶっておりますので注意が必要です。。。