キュート先生の『肺癌勉強会』

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【DREAM】未治療悪性胸膜中皮腫に対するデュルバルマブ+プラチナ+ペメトレキセド療法の6カ月無増悪生存率は57%

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『Durvalumab with first-line chemotherapy in previously untreated malignant pleural mesothelioma (DREAM): a multicentre, single-arm, phase 2 trial with a safety run-in』(Lancet Oncol 2020;21:1213)より

まとめ

  • 未治療悪性胸膜中皮腫に対するデュルバルマブ+プラチナ+ペメトレキセド療法の6カ月無増悪生存率は57%

要約

〇シスプラチン+ペメトレキセドは悪性胸膜中皮腫の生存を延長させるが、免疫チェックポイント阻害薬の効果は明らかでなく期待されている。

〇抗PD-L1阻害薬であるデュルバルマブのシスプラチン+ペメトレキセドの併用/維持療法の効果を評価した。

『DREAM試験』は多施設、単アーム、オープンラベル、第2相試験であり、オーストラリアの9つの病院で行われた。

〇症例は全身化学療法が行われておらず、手術不可能で評価病変のあるPS0/1の症例を登録した。

〇最初の6例は安全性を見るための2サイクルを行い、全ての症例は

 -シスプラチン 75mg/m2

 -ペメトレキセド 500mg/m2

 -デュルバルマブ 1125mg

を3週毎、6サイクルまで行われ、シスプラチンをカルボプラチン(5AUC)に変更することは許容され、デュルバルマブは最大12カ月まで維持された。

〇主要評価項目はITT集団でのmRECISTで評価された6カ月時点での無増悪生存率とした。

〇2016年12月から2017年9月までに55例が登録され、54例が適合して中央値で28.2カ月フォローされた。

6カ月時点の無増悪生存率は57%(54例中31例、95%CI:44-70)

〇無増悪生存期間の中央値 6.9カ月、全生存期間の中央値は18.4カ月。

〇奏効率は48%、病勢コントロール率は87%であった。

〇グレード3-4の主な有害事象は13%で好中球減少、11%で嘔気、7%で貧血を認めた。

〇29症例で60の重篤な優待事象を認め、5つがおそらくデュルバルマブによるものと考えられた。

〇治療中に5例が死亡したが、5例とも治療薬とは関連がないものとされた。

キュート先生の視点

手術が行えない悪性胸膜中皮腫の治療は現行の『肺癌診療ガイドライン』によると1次治療としてシスプラチン+ペメトレキセド、2次治療としてニボルマブが推奨されておりますが、それ以上の治療でエビデンスの確立している治療はありません。

実臨床では他の殺細胞性抗がん剤をやむを得ず使用しているところがありますが、劇的に効果が望める治療はありません。症例が増えていることもあり、アスベストの問題もあり、悪性胸膜中皮腫に対する治療選択肢が増えることは重要なことです。

悪性胸膜中皮腫の治療としては、

 -ベバシズマブ

 -ぺムブロリズマブ

 -ニンテダニブ

 -トレメリムマブ+デュルバルマブ

等の臨床試験が行われておりますが、今回は標準療法であるプラチナ+ペメトレキセドにデュルバルマブの追加/維持の効果を見ています。奏効率48%、病勢コントロール率は87%と高い水準を保っており効果としては十分期待できそうな結果でしたので今後の第3相試験の結果が期待されます。