『Randomized Phase III Study of Irinotecan Plus Cisplatin Versus Etoposide Plus Cisplatin for Completely Resected High-Grade Neuroendocrine Carcinoma of the Lung: JCOG1205/1206』(JCO 2020, published on Nov. 2)より
まとめ
- 完全切除ステージI-IIIAの高悪性度神経内分泌肺がんに対する術後イリノテカン+シスプラチンはエトポシド+シスプラチンを超えることはできなかった
要約
〇ステージI-IIIAの完全切除された高悪性度神経内分泌肺がん(HGNEC)に対する術後補助化学療法としてエトポシド+シスプラチンに対するイリノテカン+シスプラチンの優位性を検証した。
〇この『JCOG1205/1206試験』は完全切除されたステージI-IIIAの肺のHGNECの症例でのランダム化、オープンラベル、第3相試験である。
〇症例は無作為に
-エトポシド(100mg/m2、DAY1-3)+シスプラチン(80mg/m2、DAY1)
-イリノテカン(60mg/m2、DAY1,8,15)+シスプラチン(60mg/m2、DAY1)
に振り分けられ4コース投与された。
〇主要評価項目はITT集団での無再発生存期間(RFS)とされた。
〇2013年4月から2018年10月に221例が登録され、エトポシド+シスプラチン群に111例、イリノテカン+シスプラチン群に110例振り分けられた。
〇第2中間解析で試験の早期終了が指摘された。
〇フォローアップ期間の中央値24.1カ月時点で、3年無再発生存期間は
-エトポシド+シスプラチン群 65.4%
-イリノテカン+シスプラチン群 69.0%
でHR 1.076(95%CI:0.666-1.738、p=0.619)であった。
〇グレード3-4の有害事象はエトポシド+シスプラチン群が頻度が高く、
-発熱性好中球減少症 20% vs 4%
-好中球減少症 97% vs 36%
だった。
〇一方、食思不振(6% vs 11%)や下痢(1% vs 8%)とイリノテカン+シスプラチン群の方が頻度の高い有害事象もあった。
〇イリノテカン+シスプラチン併用療法は完全切除されたHGNEC症例でRFSを改善する上でエトポシド+シスプラチン併用療法よりも優れているわけではなかった。
〇したがってエトポシド+シスプラチン併用療法が標準治療のままと考えられる。
キュート先生の視点
肺の神経内分泌腫瘍に関しては、小細胞肺がんの治療に準じて治療戦略を立てていくことが一般的です。
限局型小細胞肺がんで手術が可能な場合には術後にシスプラチン+エトポシド併用療法による治療を行うように「肺癌診療ガイドライン」でも勧められています。
ただし「LCNEC」に対して周術期治療がどうなのか、に関してはエビデンスはなく、小細胞肺がんでも周術期の治療選択肢はエビデンスの乏しい領域です。
本研究はそんなエビデンスの少ない領域を補完するような大事な結果であったと考えます。
イリノテカンに効果の高い日本人集団でイリノテカン+シスプラチンがエトポシド+シスプラチンに勝てなかった、という事実は大きいのではと思います。