キュート先生の『肺癌勉強会』

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【CheckMate227】ついに承認!IOIOコンビネーション!進行非小細胞肺がんに対するニボルマブ+イピリムマブ併用療法

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『Nivolumab plus Ipilimumab in Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer』(NEJM 2019;381:2020)より

まとめ

  • 進行非小細胞肺がんにおいてPD-L1発現率に関わらず、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法が化学療法と比較して全生存期間を延長

要約

〇進行非小細胞肺がんに対する先行研究ではPD-L1が発現する症例においてニボルマブ+イピリムマブ併用療法がニボルマブ単剤よりも奏効率が高かった。

〇非小細胞肺がんにおけるニボルマブ+イピリムマブの長期的な効果を評価するためのデータが必要である。

〇本研究『CheckMate227試験』は、オープンラベル、第3相試験で、IV期または再発性の非小細胞肺がんにおいてPD-L1≧1%の症例を

 -ニボルマブ+イピリムマブ併用療法群

 -ニボルマブ単剤群

 -化学療法群

に1:1:1の割合で無作為に割り付けた。

〇PD-L1<1%の症例を

 -ニボルマブ+イピリムマブ併用療法群

 -ニボルマブ+化学療法併用群

 -化学療法単独群

に1:1:1で無作為に割り付けた。

〇どの症例でも過去の化学療法は行われていなかった。

〇主要評価項目はPD-L1≧1%症例での化学療法と比べたニボルマブ+イピリムマブ併用療法群での全生存期間とした。

PD-L1≧1%の症例において全生存期間の中央値は

 -ニボルマブ+イピリムマブ群併用療法 17.1 ヵ月(95%CI:15.0-20.1)

 -化学療法群 14.9 ヵ月(95%CI:12.7-16.7)

であり(p=0.007)、2 年全生存率は40.0%、32.8%であった。

〇奏効期間の中央値は

 -ニボルマブ+イピリムマブ併用療法群 23.2 ヵ月

 -化学療法群 6.2 ヵ月

であった。

〇PD-L1<1%の症例でも

 -ニボルマブ+イピリムマブ併用療法群 17.2カ月

 -化学療法群 12.2カ月

であった。

〇全症例での全生存期間の中央値は

 -ニボルマブ+イピリムマブ併用療法群 17.1 ヵ月

 -化学療法群 13.9 ヵ月

であった。

〇グレード 3/4治療関連有害事象は

 -ニボルマブ+イピリムマブ群 32.8%

 -化学療法群 36.0%

であった。

〇非小細胞肺がんの1次治療においてニボルマブ+イピリムマブ併用療法は化学療法と比べ、PD-L1の発現にかかわらず全生存期間が延長した。

キュート先生の視点

2018年のNEJMでは『CheckMate227試験』において、非小細胞肺がんのTMB別に無増悪生存期間PFSが比較されたニボルマブ+イピリムマブ併用療法の効果が報告されました。

そしてOSの結果を報告した本研究の結果をもって、新しく改訂されました『肺癌診療ガイドライン2020年度版』においてもこの「ニボイピ療法」がPD-L1の発現に関わらずガイドラインに記載されましたので、2019年のこのNEJMを読み返してみました。

現状の肺がん診療においては、PD-L1≧50%の症例に対してはぺムブロリズマブ単剤療法も広く使用されておりますし、PD-L1発現率に関わらず、ぺムブロリズマブやアテゾリズマブを併用した複合免疫療法で治療が行われていることと考えます。

進行非小細胞肺がんの1次治療での免疫治療や複合免疫療法もかなり複雑になってきましたので、簡単にまとめさせて頂きました。

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[図:進行非小細胞肺がんの1次治療における免疫療法(キュート先生作成)]

このニボルマブ+イピリムマブ併用療法が非小細胞肺がんの1次治療のどのような症例に対して効果を発揮するかはまた今後よく検討する必要があります。

論文中の生存曲線を見て頂ければ気づくと思いますが、治療早期に化学療法群とカーブがクロスしてしまっていることは大変気になるところであり、今後報告されるであろう『CheckMate9LA試験』のニボルマブ+イピリムマブ+化学療法の論文化も待たれるところです。

ブログ『肺癌勉強会』でも、非小細胞肺がんの1次治療については今後も常に勉強を続けていきたいと考えています。