書評 『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』
アメリカの国立衛生研究所NIHで研究されている免疫ウイルス学者で病理学の専門医でもあります「ばぶ先生」こと「峰宗太郎先生」の新刊『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』(日本経済新聞出版社)を丁寧に拝読させて頂きました。
一言で言いますと、この本は
全日本人が読んだ方がイイ。
新型コロナウイルス感染拡大で多くの人が混乱している日本において、「いま」知りたい内容である
- 新型コロナの専門用語・医学用語
- ワクチン
- 感染対策
- コロナの検査のこと
などが、峰先生の柔らかい口調と分かりやすい解説でギュッと凝縮されています。
日本は感染対策が成功しているんじゃなかったの?
世界的にみると感染者数も死亡者数も欧米諸国に比べて大きく抑えられており、
感染対策に成功している
と言われている日本ですが、アメリカや諸外国の事例と具体的にデータを比較しながら日本の状況や感染対策についても細かく解説が加えられており、自分たちが置かれている状況についての理解が深まります。
読者によって受け止め方も違うよね
一般の方も医療者も手に取るであろう本書ですが、PCR検査の理解も一般の方と専門家でも解釈の違いがある通り、本書の受け止め方も人それぞれ、と思います。
全ての事象はAll or None(白か黒か、〇か×か、ゼロか100か)ではなく、湯加減が大事であることを峰先生は強調されています。
日本での「GoTo」もそうですが、結局のところやってみないと分からない多くのコトに関しては、慎重に検討しながら実践していくことが肝要であることが分かります。
神戸大の岩田健太郎先生も頻回に仰っておりますが、状況が悪化した時の次の手、その次の手を予め検討しておくことが大事、なのですが、現在の日本の状況は・・・。
この状況下でどう行動するか考えよ
今はあまり考えられないかもしれませんが・・・われわれは新型コロナウイルスの経験を踏まえ、感染症以外にも自然災害など、きたるべき次の有事に備える必要があります。
本書はいま知りたい内容の情報本にとどまらず、溢れ返る多くの情報を
いかに自分で考え
いま自分が置かれている状況下で
どのように行動するか
を考えるきっかけとなるメッセージで締められています。
それは世界的パンデミックだけでなく、日常生活や普段の仕事にも落とし込むことができる考え方です。
最終章やあとがきが峰先生の熱のこもった一番伝えたいこと、です。
ぜひ医療従事者のみならず、新型コロナに少しでも興味のある方は、本書を手に取り、峰先生と編集者のYさんと一緒に諸問題について頭を悩ませて欲しいと思います。