キュート先生の『肺癌勉強会』

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やっぱアファかオシメか・・・EGFRアンコモン変異陽性非小細胞肺がんの実臨床

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『Treatment of Patients With Non-small-cell Lung Cancer With Uncommon EGFR Mutations in Clinical Practice』(Anticancer Res 2020;40:5757)より

まとめ

  • アンコモン変異のあるEGFR陽性非小細胞肺がんでは第2世代EGFR-TKIが化学療法よりも長い生存と関連

キュート先生の視点

EGFR陽性非小細胞肺がんではEGFR変異のタイプ別で、頻度の高いEx19 deletions変異やEx21 L858R変異の「メジャー変異」とそれ以外の「アンコモン変異(マイナー変異)」と分けることがあります。

以前はそんなこと気にせずEGFRならEGFR-TKIを、と治療選択しておりましたが、近年メジャー変異とアンコモン変異では薬剤の効果が異なることや、メジャー変異の中でもEx19 deletions変異とL858R変異では予後や薬剤の効果が異なり治療選択をより複雑にさせています。

本研究では日本の15施設からのリアルワールドデータで、102例のEGFR「アンコモン変異」非小細胞肺がん症例を集めて解析しています。

アファチニブ/オシメルチニブが第1世代EGFR-TKIよりPFS良好

結果はアファチニブ/オシメルチニブがゲフィチニブ/エルロチニブの第1世代EGFR-TKIよりもPFSを延長しました(17.3カ月 vs 4.0カ月、p=0.03)

多変量解析でもアファチニブやオシメルチニブで治療していることが良好な生存に関連していました。

Ex20 insertions変異に関しては化学療法の方が効果的でした。

アンコモン変異にはアファチニブも選択肢?

EGFR陽性非小細胞肺がんの1次治療はガイドラインでも一番上に記載されている第3世代EGFR-TKIであるオシメルチニブを使用していることが多いかと思いますが、アンコモン変異に関しては第2世代EGFR-TKIであるアファチニブも選択肢に残ってきますし、アンコモン変異症例を集めた『LUX-Lung2,3,6の統合解析』でも良好な結果が示されています。

オシメルチニブのアンコモン変異に対するデータもあり、36例のEGFRアンコモン変異症例に対するオシメルチニブでは奏効率は50%、無増悪生存期間の中央値は8.2カ月との結果(JCO 2019;38:488)でした。しかしながらアファチニブとオシメルチニブを比較した試験がありませんので、実臨床では治療選択をよく検討する必要があります。