医療情報サイト『Medical Tribune』に記事を寄稿しました。
ALK陽性既治療肺がんでのブリガチニブ
第35回の論文レビューに選んだ論文は
『Brigatinib in Japanese Patients With ALK-Positive Non-Small Cell Lung Cancer Previously Treated With Alectinib and Other Tyrosine Kinase Inhibitors: Outcomes of the Phase 2 J-ALTA Trial』(J Thorac Oncol 2020年11月25日オンライン版)
です。
先日改訂された『肺癌診療ガイドライン 2020年版』においてもALK融合遺伝子陽性肺がんの2次治療以降に追加されており、ブリガチニブは今押さえておくべき薬剤のうちの1つと考えています。
本論文は第Ⅱ相試験である『J-ALTA試験』の研究結果で、アレクチニブや他のALK阻害薬使用後に病勢増悪してしまったALK陽性の進行期非小細胞肺がんの症例72例を対象としております。
単アームの多施設、オープンラベル試験で日本人に対して行われ、拡大コホートの結果は
-奏効率 34%(95%CI:21-49%)
-奏効期間中央値 11.8カ月(95%CI:5.5-16.4カ月)
-病勢コントロール率 79%(05%CI:64-89%)
-無増悪生存期間 7.3カ月(95%CI:3.7-9.3カ月)
という結果でした。
現時点でブリガチニブは日本での承認がなされていませんが、ガイドラインにも2次治療以降での記載がされており、実際の患者さんにすぐに役立てられるようあらかじめ勉強しておくことをおススメします。