『A phase II study of first-line afatinib for patients aged ≥75 years with EGFR mutation-positive advanced non-small cell lung cancer: North East Japan Study Group trial NEJ027』(BMC Cancer 2021;21:208)より
医療情報サイト『Medical Tribune』に論文レビューを寄稿しました。
キュート先生の視点
現在、EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんの一次治療では
第三世代EGFR阻害薬オシメルチニブ(タグリッソ®)が
広く使われているものと思います。
ただ様々な意見が専門家や臨床の現場で活躍する先生方から寄せられており
一律にオシメルチニブでよいのかどうかに関して定かではありません。
オシメルチニブが頻用される中、アファチニブの立ち位置として、
-uncommon変異症例
-compound変異症例
だったりと考えている先生方が多いのではと思います。
しかしご存じの通りアファチニブは下痢や爪囲炎などの有害事象から、
実臨床では副作用が起きてしまうと困ってしまうような症例、
特に高齢者への使用を控えているのも事実です。
そのようなクリニカルクエスチョンを埋めるような形で報告された、
今回の第II相試験『NEJ027試験』についてレビューしてみました。
アファチニブを長く継続する臨床上のコツとして早期に低用量に減量したり、
最初から30mg、20mgで開始したりする方法もあるかと思います。
昨年報告された第II相試験『NJLCG1601』(Oncologist 2020;25:e1451-e1456)では
40mgでアファチニブを開始し、有害事象を認めたら速やかに減量していく
臨床試験があり『肺癌勉強会』でも取り上げました。
有害事象のグレードが2/3の症例では20mgまでの減量を行いましたが、
無増悪生存期間は11.8カ月と比較的許容できる治療効果を
認めていたことも示されています。
今回の『NEJ027試験』の結果を受けて、高齢者に対するアファチニブの投与
についてどのように検討されるのか、
また多くの先生方からご意見を教えていただけると幸いです。