子宮頸がんは予防できる
普段…肺がん診療に従事しているわたくしですが、
4月9日は『子宮の日(4・9の日)』ということで
本日は子宮頸がんの勉強をします!
(上は本日2021/4/9 「朝日新聞」一面広告です)
子宮頸がんの多くはHPVウイルスが原因
子宮頸がんの95-99%はHPV(ヒトパピローマウイルス)という
ウイルス感染が原因であることが分かっています。
多くの医療者が「エイチ・ピー・ブイ」って言っています。
子宮頸がんはがんの前段階病変が存在
子宮頸がんの特徴として「異形成(いけいせい)」と呼ばれる
がんの前段階の病変が存在します。
HPVワクチンががんを予防する証明が難しかった
HPVワクチンがHPVウイルス感染や
がんの前段階である異形成を防ぐこと
は今までの研究で確認されていました。
しかしながらワクチンが「がん」を防ぐかどうか
に関しては証明することが難しかったのです。
子宮頸がんは25-49歳に発症しやすいのですが、
10代でHPVワクチンを接種しても
10-40年後の長い期間観察して子宮頸がん発症がどうなるか
を研究で調べる必要がありました。
4価HPVワクチンが子宮頸がんリスクを63%下げる
昨年の最も権威のある医学雑誌『NEJM』に
HPVワクチンが子宮頸がんを予防するという研究結果が
発表されました(NEJM 2020:383:1340)
この研究では…
〇2006-2017年のスウェーデンの国民データベースより。
〇10-30歳の女性 約167万人を
-4価HPVワクチンを1回以上接種した53万人
-HPVワクチンを接種しなかった115万人
を比較した大規模研究。
〇結果は
4価HPVワクチンは子宮頸がんリスクを約63%下げる
ことが分かりました。
〇17歳以下で接種した子ども達の中で、子宮頸がんを発症したのは2人のみ。(リスクは88%減少)
〇17-30歳でHPVワクチン接種した群も53%は予防できる。
本研究から分かったことは
-HPVワクチンが子宮頸がんリスクを1/3に下げる。
-HPVワクチンは年齢が低いうちに接種した方が効果が高い。
ということです。
感染したHPVを治療する効果はないよ
専門家の意見では、
HPVワクチンはHPV感染を予防するものであり、
感染してしまったHPVを排除する効果はありません。
HPVワクチンではいくつかの「型」のHPVウイルス感染の予防効果があり、
すぐにそのすべての「型」に感染してしまうわけではないですので、
初めて性交を経験した後でも効果はあると考えられています。
ただできれば性交渉が始まる前に接種しておくことが望ましい、
という考え方が一般的です。
「がんを予防する」ということ
わたくしは普段肺がん診療に携わっています。
肺がんでは、がんを予防する効果の高い薬やワクチンはありません。
もちろんタバコや大気汚染など肺を労わることはできますが、
どのくらいがん発症予防効果があるかは分かっていません。
日本では「HPVワクチン」の普及が諸外国に比べて大きく遅れています。
効果は十分に確認されています。
しかも子宮頸がんを発症する方は若い女性に多いのです。
子宮頸がんのこと。
HPV感染のこと。
HPVワクチンのこと。
多くの人に正しい医療情報が伝わることを
同じがん診療に携わる医療者として心から願っています。
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