『Non-inferior clinical outcomes of immune checkpoint inhibitors in non-small cell lung cancer patients with interstitial lung disease』(Lung Cancer 2021;155:120)より
まとめ
- 間質性肺炎のある非小細胞肺がんに対する免疫治療は間質性肺炎のない症例と比べて臨床的効果は劣らない。
要約
〇間質性肺炎のある非小細胞肺がんに対する免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の効果は分かっていない。
〇2016-2018年に日本の10の医療機関でニボルマブ、ぺムブロリズマブで治療された進行/再発非小細胞肺がん症例を後ろ向きに解析した。
〇461例が登録され、
-間質性肺炎のない「Non-ILD群」412例
-間質性肺炎のある「ILD群」49例
に分けられた。
〇奏効率は
-ILD群 49.0%
-Non-ILD群 30.1%
で(p<0.01)、病勢コンロトール率は
-ILD群 69.4%
-Non-ILD群 51.2%
で(p=0.016)、ILD群はNon-ILD群に劣っていなかった。
〇非劣性結果としては無増悪生存期間や全生存期間でも観察された。
〇免疫関連有害事象のうち、間質性肺炎はILD群により多く認められた(30.6% vs 9.5%)。
〇間質性肺炎以外の免疫関連有害事象は2群で大きな差を認めなかった。
キュート先生の視点
本邦からの積極的な臨床試験の結果が『Lung Cancer誌』に発表されました。日常臨床で免疫治療は日々使用しておりますが、画像上間質影がありますと当然のごとく免疫治療の選択肢を除外していました。もちろん本研究を読んだ後でも、積極的に使用すべきではありませんし、間質性肺炎がActiveで悪さをしている時には絶対に避けるべきと考えていますが、完全に選択肢から除外してしまうべきではなさそうです。
本研究のILD群でも免疫治療を1次治療として28%、2次治療として27%と比較的フロントラインに使用しており、この試験に登録された先生方の積極性が伺えます。
今後の実臨床の参考にしたいと思って紹介致しました。ステキな研究を発表頂き、感謝致します。