『Intracranial and extracranial efficacy of lorlatinib in patients with ALK-positive non-small-cell lung cancer previously treated with second-generation ALK TKIs』(Ann Oncol 2021;32:620)より
まとめ
- ロルラチニブは第2世代ALK-TKIで治療されたALK陽性非小細胞肺がんにおいても高い頭蓋内/頭蓋外抗腫瘍効果を持つ
要約
〇ロルラチニブはALK陽性非小細胞肺がんに対して効果を示す第3世代ALKチロシンキナーゼ阻害薬(ALK-TKI)である。
〇本研究は第2世代ALK-TKIで病勢増悪したALK陽性非小細胞肺がん症例に対して、頭蓋内/それ以外の病変に対するロルラチニブの効果を見た。
〇1レジメン以上の第2世代ALK-TKI±化学療法で治療された進行非小細胞肺がんの症例が登録された。
〇全症例において頭蓋内/それ以外の病変での抗腫瘍効果が評価された。
〇第2世代ALK-TKIで治療された139例は、
-EXP3Bコホート:1種類の先行するALK-TKIで治療 28例
-EXP4コホート:2種類の先行するALK-TKIで治療 65例
-EXP5コホート:3種類の先行するALK-TKIで治療 46例
という内訳になっている。
〇このEXP3B-5コホートにおいて、
-奏効率ORR 39.6%
-頭蓋内奏効率IC-ORR 56.1%
-頭蓋外奏効率EC-ORR 36.7%
-奏功期間の中央値DOR 9.6カ月
-無増悪生存期間の中央値 6.6カ月
-全生存期間の中央値 20.7カ月
であった。
〇EXP3Bコホートにおいて、
-ORR 42.9%
-IC-ORR 66.7%
-EC-ORR 32.1%
〇EXP4/5コホートにおいて、
-ORR 38.7%
-IC-ORR 54.2%
-EC-ORR37.8%
であった。
キュート先生の視点
現時点での『肺癌診療ガイドライン』において、ロルラチニブはALK-TKIで病勢増悪後に「ロルラチニブを提案する」とされています(Lancet Oncol 2018;19:1654)。
実臨床でも使用することができますが、日本人集団でのデータや
リアルワールドでの効果
1次治療での効果
など、わたくし達が知りたいデータも揃ってきていて大変心強い治療薬のうちの一つと考えられます。
本研究では、現時点での2次治療以降でのロルラチニブの効果を見た結果であり実臨床に即していますし、先行する治療として44.6%がアレクチニブで、33.8%がセリチニブで治療を受けた症例群が登録されています。
特筆すべきは2種類以上のALK-TKIで治療後(EXP4/5コホート)においてもORR 38.7%と高い奏効率を示したことと考えます。ALK陽性でもEGFR陽性でも、1次治療で病勢増悪した後に、さらに強力な治療が残っているほど心強いことはありません。
ロルラチニブは後治療に必ず使いたい選択肢のうちの一つと考えられます。