『Phase 3 trial comparing nab-paclitaxel with docetaxel for previously treated advanced non–small cell lung cancer』(JTO 2021, in press)より
まとめ
- 進行非小細胞肺がんの2次治療以降でナブパクリタキセルはドセタキセルと比較して全生存期間で非劣性。
要約
〇既治療進行非小細胞肺がんに対するパブパクリタキセルの効果と安全性を評価した。
〇本研究は無作為化、オープンラベル、非劣性、第III試験であり、殺細胞性抗がん剤で既治療の進行非小細胞肺がん症例を登録した。
〇症例は1:1で
-ドセタキセル 60mg/m2(day1)
-ナブパクリタキセル 100mg/m2(day1,8,15)
の21日サイクルに振り分けられた。
〇主要評価項目はITT集団で解析された全生存期間とした。
〇503例が無作為化され、全生存期間の中央値は
-ナブパクリタキセル群(252例) 16.2カ月(95%CI:14.4-19.0カ月)
-ドセタキセル群(251例) 13.6カ月(95%CI:10.9-16.5カ月)
であり、HR 0.85(95%CI:0.68-1.07)という結果だった。
〇無増悪生存期間の中央値は
-ナブパクリタキセル群 4.2カ月(3.9-5.0カ月)
-ドセタキセル群 3.4カ月(2.9-4.1カ月)
であり、HR 0.76(95%CI:0.63-0.92、p=0.0042)だった。
〇奏効率は
-ナブパクリタキセル群 29.9%
-ドセタキセル群 15.4%
であり、ナブパクリタキセルの方が組織型に関わらず有意に奏功した(p=0.0002)。
〇グレード3以上の有害事象は好中球減少がそれぞれ2%と22%、末梢神経障害が10%と1%だった。
キュート先生の視点
非小細胞肺がんの2次治療以降に新しい治療選択肢が登場しました。九州大学の米嶋先生が非小細胞肺がんの2次治療以降でナブパクリタキセルとドセタキセルを比較した『J-AXEL試験』を発表しました。素晴らしい!
ナブパクリタキセル(アブラキサン®)は1週間毎の投与で通院や投与自体は大変ですが、1回1回の投与は有害事象も少なく、血液毒性などが出るような場合には途中の投与をSKIPできますので、医療者にとっては大変使い勝手の良い薬剤です。
本研究では主要評価項目である全生存期間がドセタキセルと非劣性であることが証明されました。
しかも無増悪生存期間や奏効率はむしろドセタキセルより良好な結果であったとして、非小細胞肺がんの2次治療以降で使用する薬剤の選択肢として間違いなく重要な報告であると考えます。
実臨床ではすでにナブパクリタキセルを広く使用しているものと考えますが、これからは堂々と患者さんにも説明できますし、おススメすることができます。
米嶋先生、ありがとうございました。