『Sotorasib for Lung Cancers with KRAS p.G12C Mutation』(NEJM 2021, published on Jun. 4)より
まとめ
KRAS G12C変異のある非小細胞肺がんに対するソトラシブの奏効率は37.1%
要約
〇ソトラシブは第1相試験においてKRAS pG12C変異のある進行固形がんに対し抗腫瘍効果を示した。
〇特に非小細胞肺がんのサブグループに対しては効果が期待されていた。
〇本研究は単アームの第2相試験であり、過去に標準治療を受けたKRAS pG12C変異のある進行非小細胞肺がん症例に対して1日1回960mg経口投与でソトラシブの効果を調べた。
〇主要評価項目は奏効率(CRとPR)とした。
〇主な副次評価項目は奏功期間、病勢コントロール率、無増悪生存期間、全生存期間、安全性とした。
〇探索的なバイオマーカーはソトラシブによる治療による効果と関連した因子を評価した。
〇126例が登録され、81.0%は過去にプラチナ併用化学療法とPD-1抗体あるいはPD-L1抗体による治療の両方を受けていた。
〇124例がベースラインに評価可能病変があり、効果が評価された。
〇37.1%(46例)で奏功し、4例がCR、42例がPRであった。
〇奏功期間の中央値は11.1カ月(95%CI:6.9カ月-評価不能)。
〇病勢コントロール率は80.6%(95%CI:72.6-87.2%)。
〇無増悪生存期間の中央値は6.8カ月(95%CI:5.1-8.2カ月)。
〇全生存期間の中央値は12.5カ月(95%CI:10.0カ月-評価不能)。
〇治療関連有害事象は126例中88例(69.8%)に認め、グレード3は19.8%、グレード4は0.8%だった。
〇PD-L1発現率、TMB、他の遺伝子変異(STK11、KEAP1、TP53)によらず効果を示した。
キュート先生の視点
KRAS変異のある非小細胞肺がんに対するソトラシブの第2相試験の結果が、現在開催されているASCOでの発表(アブストラクトNo 9003)を受けてNEJMに報告されました。
以前、KRAS変異のある固形がんに対するソトラシブの結果も報告されています。
今回は第2相試験で非小細胞肺がんに絞って検討がなされました。
プラチナや免疫治療後の症例がほとんどを占めているにもかかわらず、奏効率37.1%、病勢コントロール率は80.6%というのは驚異的な結果であったと考えられます。
目新しい有害事象もなく、KRAS変異に対する画期的な薬剤と考えれます。
実臨床で早く活かすことができることを望みます。
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