キュート先生の『肺癌勉強会』

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【KEYNOTE799】キイトルーダ!お前もか!局所進行ステージ3非小細胞肺癌に対するケモラジペンブロ!

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『Pembrolizumab Plus Concurrent Chemoradiation Therapy in Patients With Unresectable, Locally Advanced, Stage III Non–Small Cell Lung Cancer -The Phase 2 KEYNOTE-799 Nonrandomized Trial-』(JAMA Oncol 2021, published on Jun. 4)より

まとめ

局所進行ステージIII非小細胞肺がんに対するぺムブロリズマブ+化学放射線療法の奏効率は70%以上

要約

〇局所進行ステージIII非小細胞肺がんにおいてぺムブロリズマブ+化学放射線治療が効果的かどうかを検証した。

〇この『KEYNOTE799試験』は第2相試験、非無作為化、2つのコホート、オープンラベル試験であり、2018年11月~2020年7月まで10か国、52施設から登録した。

〇2つのコホートで301例がスクリーニングされ、216例が過去に未治療、切除不能、組織学的に確定したステージIIIA/IIIB/IIICの非小細胞肺がんとして登録された。

〇「コホートA」は扁平上皮がん・非扁平上皮がんの症例で、

 -カルボプラチン(AUC6)+パクリタキセル(200mg/m2)+ぺムブロリズマブ(200mg)を1コース(3週毎)

 →カルボプラチン(AUC2)+パクリタキセル(45mg/m2)を毎週、6週までと、3週毎のぺムブロリズマブ(200mg)を2コースと胸部放射線治療が行われた。

〇「コホートB」は非扁平上皮がんの症例で、

 -シスプラチン(75m/m2)+ペメトレキセド(500mg/m2)+ぺムブロリズマブ(200mg)を3週毎と胸部放射線治療が行われた。

〇いずれのコホートでも追加で14コース、3週間毎のぺムブロリズマブの投与を病勢増悪、許容不可能な有害事象などまで投与された。

〇主要評価項目は独立評価委員による奏効率とグレード3-5の肺臓炎の発生とした。

〇「コホートA」は、112例、58.9%がPD-L1陽性。

〇「コホートB」は、102例、39.2%がPD-L1陽性。

奏効率は

 -コホートA 70.5%

 -コホートB 70.6%

であった。

〇グレード3以上の肺臓炎は8%認められた。

キュート先生の視点

局所進行ステージIII期の非小細胞肺がんに対するぺムブロリズマブ+化学放射線治療の臨床試験結果が発表されました。これは第2相試験であり、比較試験ではありませんが、70%以上の奏効率を認めており期待できそうです。

抗PD-L1抗体であるデュルバルマブの『PACIFIC試験』とは治療レジメンも放射線を照射するタイミングも異なりますが、グレード3以上の肺臓炎も許容範囲内と考えます。

抗PD-1抗体とPD-L1抗体の違いや放射線のタイミングは気になるところですが、今後の第3相試験や長期フォローデータに期待したいと思います。