『Open-Label Phase II Study of the Efficacy of Nivolumab for Cancer of Unknown Primary』(Ann Oncol 2021, Accepted 21 Nov. 2021)より
まとめ
- 既治療の原発不明がんに対しニボルマブは奏効率22.2%
要約
〇原発不明がん(cancer of unknown primary : CUP)は予後不良である。
〇複数のがんにおいて免疫チェックポイント阻害薬が投与できるようになったが、今回原発不明がんに対するニボルマブの効果を評価した多施設第2相試験を行った。
〇過去に1ライン以上の化学療法を行った原発不明がん症例を研究症例群として構成した。
〇過去に未治療の原発不明がん症例も探索的解析として登録した。
〇ニボルマブ240mg/bodyとして2週ごと、最大52週まで投与した。
〇主要評価項目は既治療群での奏功率ORRとし、独立した評価委員会で評価された。
〇56例が本研究に原発不明がん症例として登録された。
〇既治療の45例において
-奏効率 22.2%(95%CI:11.2-37.1%)
-無増悪生存期間の中央値 4.0カ月(95%CI:1.9-5.8カ月)
-全生存期間の中央値 15.9カ月(95%CI:8.4-21.5カ月)
という結果だった。
〇11例の未治療例に関しても臨床的ベネフィットは同程度であった。
〇腫瘍のPD-L1発現レベルが高い群、高TMB群、高頻度マイクロサテライト不安定性の群でニボルマブの効果が高かった。
〇推測される元の組織ごとのサブグループ解析では効果に差を認めなかった。
〇有害事象は既知のニボルマブの安全性プロファイル同様であり、治療関連死は確認されなかった。
キュート先生の視点
肺がんを専門に治療に当たっていると年に数人の「原発不明がん」症例の治療に当たることがあります。「原発不明がん」というと、今までは何となくプラチナ+タキサン、ゲムシタビン、ビノレルビン、S-1などを使用していました。しかしながら奏功して元気な時間を長く過ごせる症例は数少ない状況です。
原発がぼんやりしている敵に対して、大きな声では言えませんが「肺がん」の病名をつけて免疫チェックポイント阻害薬を使用…という状況はないわけではありません。
原発を特定するための検索をどこまでするか…が各医療機関ごとに異なるような感じもしますが、問診、身体所見、採血、画像検査と内視鏡検査、免疫組織化学検査などにより組織型と性別、転移様式から原発巣を推定することができます。そこである程度判明するようでしたら「予後良好群」と判断することができます(『原発不明癌診療ガイドライン 第2版』p34)。
今回、原発不明がんであってもPD-L1発現率が高い場合にはニボルマブの効果が望めるという結果で、実臨床でも心強い報告であることは間違いなさそうです。