2021年 今年の1冊は『がんをデザインする』
今年4月20日、38歳で他界された『deleteC』代表理事であり
QOLデザイナーでもある中島ナオさんの著書を
ゆっくり読ませて頂きました。
1ページごとに心に突き刺さる言葉や写真のご本人は
もうこの世に居ません。
ただ…この本の向こう側に
中島さんご本人が実際に存在するような感じ、
安心感や不安、心理や行動パターンなど、
中島さんの熱量や温かみに触れることができます。
今までの自分を何かに役立たせたい
「がん」と診断された時に
「デザイン」×「教育」×「がん」
を組み合わせて
「今までの自分を何かに役立させたい」
という気持ちから
闘病生活の中でカタチとして創り上げたモノ…
それが本書『がんをデザインする』であり、
本書に描かれていることでもあります。
がんは失うものばかりではない
中島さんの中で「がん」は
大変暗く、重く、硬いもの
であったのだ思いますが、
「失うものばかりではない!」
という気持ちから
あかるく、かるく、やわらかいもの
に変えることができる。
それが中島さんのチカラ、
困難な状況でもしなやかに適応するチカラ、
「レジリエンス」です。
本文中には中島さんご自身の言葉で
「生きること」や「死」についても触れられています。
誰しもが「死」は悲しいし、つらいもの。
でも出会いを嬉しく思い、
一緒に過ごせた時間を大切に思い、
たくさんの感謝ができるはず。
中島さんの人との出会いや行動に
それがとても表れれていると思います。
本の後半では中島さんの生い立ち、考え方、
行動力の原点に触れながら、
中島さんがカタチにしてきたモノやコトバが紹介されています。
繰り返しになりますが、
1ページごとに心に突き刺さる言葉を書いた中島さんは
もうこの世にはいらっしゃいません。
ただこの本の向こう側に
ご本人が座っているような感じ、
安心感や不安、心理や行動パターンなど、
中島さんの熱量や温かみに触れることができる1冊です。
多くの方に手に取って欲しい1冊
がんと闘う多くの方
がんと闘ってる方を支えるご家族やご友人
がん診療に携わる多くの医療従事者の皆さま
より多くの方に手に取って欲しい。
2021年 今年の1冊として紹介させて頂きました。
▶『deleteC』プロジェクト https://www.delete-c.com/
▶株式会社ナオカケル https://naokakeru.com/
▶ニジノ絵本屋 http://nijinoehonya.shop/
今年も多くの方々にお世話になりました。
2020年同様、2021年もコロナに振り回された年でした。
そのような中、粛々と肺がん診療に邁進していく所存です。
がんのない未来、がんに苦しむことがない未来、
がんで悲しむことがない未来を手繰り寄せるために
日々行動していきたいと思っています。
また来年もわたくし、ブログ『肺癌勉強会』ともども
宜しくお願い致します。
日本鋼管病院 呼吸器内科
田中 希宇人(キュート先生)