医療情報サイト「メディカルトリビューン」さんの連載「みんなで肺がん注目論文 徹底検証しちゃいました」の紹介です。この企画は肺がん診療に重要な論文を、第一線で活躍される先生方とわたくしキュート先生で徹底的に検証しよう、という内容になっています。
連載第2回目は東北医科薬科大学光学診療部の佐川 元保教授に解説をお願い致しました。
■LDCT肺がん検診の有効性で新知見
-英・パイロット研究UKLS-
この研究はイギリス在住で50~75歳の肺がん発症の高リスク群を対象に行った試験になります。2011年~13年に行われ、約4000人が試験に参加しました。肺がん早期発見のために1回の低線量CT検診を行う群(検診群)と通常のケア(検診は行わない)を行う群(非検診群)にランダムに割り付けられました。
主要評価項目は肺がんによる死亡率とされました。約7年間経過が追跡され結果が解析されました。
結果は肺がん死亡において両群で有意差を認めませんでした。
論文に示された生存曲線では「検診群」が死亡率が7年の経過で通して死亡率が低いように見えますが、残念ながら有意差をつけることができませんでした。
この研究の特徴として、他の同様の研究に比べ4000例という少ない人数で解析されたことや、「CT1回の検査」で評価されたことはよく考える必要があります。
このような研究から、これからの令和の肺がん診療の実臨床現場で本当に生かされていくのかどうかに関してはしっかり検証していく必要がありそう、と考えました。ぜひ佐川先生との徹底検証を多くの肺癌診療に携わる方々に読んで頂きたいと思っています。