医師向け薬剤比較アプリ『イシヤク』内の肺癌トピックに寄稿した記事を紹介します。
EGFR陽性非小細胞肺癌にTKIを使用しない選択肢は?
基本的にあり得ません。
一般的にドライバー変異陽性非小細胞肺癌に対して、それぞれの遺伝子変異に対応する標的治療を行うことが標準治療となっております。そのようなドライバー変異陽性肺癌の症例に対して分子標的薬を使わないとどうなるのでしょう。
米国で行われた研究で、10種類のドライバー変異について標的治療が行われた場合と行われなかった場合の予後が検討されました。この研究では標的治療を行わなかった場合には生命予後が悪くなることが示されました(JAMA 2014;311:1998)。EGFR遺伝子変異を検出しても標的治療が行われなければ、EGFR遺伝子変異が陰性の症例とほぼほぼ生存曲線が重なってしまうことは驚くべき事実です。
実際にドライバー変異が検出されているにもかかわらず、標的治療がなされない場面とはどのような状況でしょう。全身状態があまりに不良で死期が差し迫っており内服の分子標的薬が投与できない場合か、分子標的薬の重篤な副作用が懸念される活動性の間質性肺炎が「いま」暴れている場合…くらいしか使わない場面は思い浮かびません。
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