Postoperative Chemotherapy Use and Outcomes From ADAURA: Osimertinib as Adjuvant Therapy for Resected EGFR-Mutated NSCLC(J Thoracic Oncol 2021;17:423)
まとめ
EGFR陽性非小細胞肺癌の術後補助化学療法の有無に関わらず、術後オシメルチニブは有効
要約
〇術後化学療法はステージII-IIIA期(あるいは選択されたIB期)の非小細胞肺癌で推奨されていますが、再発率は高いことが知られています。
〇この『ADAURA試験』では、完全切除されたIB-IIIA期のEGFR陽性非小細胞肺癌においてオシメルチニブが無病生存期間DFSを臨床的に有意に改善させました。
〇そこで検証的解析としてADAURA試験において術後化学療法の有無と結果の関係について解析しました。
〇本試験に参加した682例中410例(60%)が術後化学療法を中央値で4サイクルまで受けていました。
〇410例の術後化学療法を受けた症例のうち、203例が術後オシメルチニブ群、207例がプラセボ群に振り分けられました。
〇術後化学療法を受けた群は年齢が70歳未満であること、ステージII-IIIA期であること、アジアからの登録であることが特徴として挙げられました。
〇病期に関わらず、術後化学療法の有無で無病生存はオシメルチニブが良好な結果が示されました。
キュート先生の視点
完全切除後のステージII/IIIAのEGFR陽性非小細胞肺がんに対する術後オシメルチニブの効果を検証した『ADAURA試験』では「オシメルチニブは無病生存期間を延長する」ことが示されました。
この研究のサブグループ解析でも術後化学療法の有無に寄らず、アジュバントとしてのオシメルチニブが有効であることは示されておりましたが、さらに深く検討された結果が報告されたものと考えています。
『ADAURA試験』やこのJTOの結果を踏まえますと、EGFR陽性非小細胞肺癌の完全切除後にはオシメルチニブ3年間投与が当たり前になるようなパラダイムシフトが起こって当然と考えています。
ただし抗がん剤治療を専門とする内科医の立場と、実際に手術にあたる呼吸器外科の先生では本研究の捉え方が変わってくるかもしれません。
オシメルチニブも新しい適応承認がなされたことですので、今後のオピニオンリーダーや現場で肺がん診療にあたる医療者のご意見もお伺いしたいところです。