キュート先生の『肺癌勉強会』

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【POSEIDON】進行非小細胞肺がんに対するデュルバルマブ+トレメリムマブ+化学療法

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『Durvalumab With or Without Tremelimumab in Combination With Chemotherapy as First-Line Therapy for Metastatic Non–Small-Cell Lung Cancer: The Phase III POSEIDON Study』(J Clin Oncol. 2022;JCO2200975. doi: 10.1200/JCO.22.00975.)

ケモ・イジ・イミフィンジ 製造販売承認

『POSEIDON試験』はオープンラベル、第3相試験で、進行非小細胞肺がんの1次治療に対する

 トレメリムマブ+デュルバルマブ+化学療法(T+D+CT)

 デュルバルマブ+化学療法(D+CT)

 化学療法単独(CT)

の有効性や安全性を評価した試験です。

 

デュルバルマブ(イミフィンジ®)は抗PD-L1抗体でⅢ期切除不能局所進行非小細胞肺がんの治療や進展型小細胞肺がんに適応があります。トレメリムマブ(イジュド®)は肺がんに対しては新規に承認された抗CTLA-4抗体になります。

化学療法の組み合わせとしては、

非扁平上皮癌であればCDDP/CBDCA+PEMかCBDCA+nabPAC、

扁平上皮癌であればCDDP/CBDCA+GEMかCBDCA+nabPAC

が選択されます。

 

導入期はデュルバルマブ 1500mg、トレメリムマブ 75mg、化学療法が3週毎4サイクルまで、維持期はプラチナを抜いて4週毎に病勢進行PDまで投与されます。

 

この『POSEIDON試験』では18か国、142施設から、EGFR/ALK遺伝子変異のない転移性非小細胞肺がん1013例が登録されました。主要評価項目はCT単独群とD+CT群の無増悪生存期間PFS、全生存期間OSとされ、副次評価項目としてCT単独群とT+D+CT群のPFS、OSが評価されました。

 

D+CT群 vs CT単独群の比較では

PFS中央値は5.5カ月 vs 4.8カ月(HR 0.74、95%CI:0.62-0.89、p=0.0009)

で有意な改善が認められました。

 

OS中央値は13.3カ月 vs 11.7カ月(HR 0.86、95%CI:0.72-1.02、p=0.758)

と改善する傾向は認められたものの有意差はつきませんでした。


T+D+CT群 vs CT単独群の比較では

PFS中央値は6.2カ月 vs 4.8カ月(HR 0.72、95%CI:0.60-0.86、p=0.0003)

OS中央値は14.0カ月 vs 11.7カ月(HR 0.77、95%CI:0.65-0.92、p=0.003)

でいずれも有意な改善が認められました。

 

グレード3/4の治療関連有害事象は

T+D+CT群 51.8%、D+CT群 44.6%、CT群 44.4%、

治療関連有害事象が原因と考えられる治療中止は

それぞれ15.5%、14.1%、9.9%と報告されています。

 

キュート先生の視点

本日2022年12月23日に、進行肺がんの新しい治療として『POSEIDON試験』の有効性と安全性から抗PD-L1抗体イミフィンジ+抗CTLA-4抗体イジュドが製造販売の承認を取得しました。今後、進行非小細胞肺がんに活用されていくことと思いますが、現在も数多くの治療選択肢があり、なかなか決まった使い分けがない現状です。

 

この『POSEIDON試験』においてはEGFR/ALK遺伝子変異は除外されておりますが、ドライバー変異のある症例はそれぞれの標的治療が適応となりますので、この「POSEIDON」レジメンは選択されません。またケモ+IOIOなので、活動性のある間質性肺炎のある症例も適応外です。

 

先日のESMO2022ではSTK11変異、KEAP1変異、KRAS変異陽性肺がんの症例は、T+D+CT群でより死亡リスクを下げることが示されました。ただし、現時点で本邦の一般的な検査では検出することができません。『POSEIDON試験』のサブグループ解析では喫煙者の方が非喫煙者よりも効果が高い結果が示されていますので、実臨床では喫煙歴なんかも参考になるかもしれません。

 

いずれにしても先ほど製造販売承認されたばかりの治療法ですので、今後の論文の解釈や実臨床での活用法などをよく考えて活用していく必要がありそうです。