Overall Survival with Osimertinib in Resected EGFR-Mutated NSCLC(New Engl J Med 2023 Online ahead of print)
久しぶりの更新です。
先日のASCO 2023で発表されました『ADAURA試験』。発表後に即日NEJMに掲載されました術後オシメルチニブのOSを含む長期フォローデータについて紹介します。
要約
完全切除されたステージIB-IIIA期のEGFR陽性肺癌に対して術後オシメルチニブの投与はプラセボに比較して無病生存期間DFSを延長したことは以前の『ADAURA試験』で示されている。
この『ADAURA試験』は第III相・2重盲検で、1:1で無作為にオシメルチニブあるいはプラセボが病勢増悪か3年間のレジメン完遂まで治療された。
主要評価項目はステージII-IIIA期でのDFS。
副次評価項目はIB-IIIA期でのDFSやOS、安全性などが含まれた。
682例がランダム化され339例がオシメルチニブ群、343例がプラセボ群に振り分けられた。
ステージII-IIIA期での5年生存率はオシメルチニブ群とプラセボ群で85% vs 73%(ハザード比 0.49,95.03%CI:0.33-0.73、p<0.001)という結果。IB-IIIA期では5年生存率は88% vs 78%(ハザード比 0.49、95.03%CI:0.34-0.70、p<0.001)。
初回の解析時と術後オシメルチニブの安全性プロファイルは一致していた。
キュート先生の視点
フォローアップ期間の中央値は59.9カ月と約5年のデータが報告されました。
5年生存率はオシメルチニブ群が85%、プラセボ群が73%でハザード比は0.49と驚くべきOSのデータが示されました。生存曲線のカーブは5年次に至るまで徐々に引き離されて交わることのない美しいカーブです。
現在の『肺癌診療ガイドライン』で「推奨度決定不能」とされていますが、今回OSのデータが示されたことでEGFR陽性肺癌の術後オシメルチニブは必須の選択肢となるのでしょう。
今後、進行肺がんでも周術期でもEGFR-TKIを活用することとなり、より内科/外科の連携が重要になってくることは間違いありません。