キュート先生の『肺癌勉強会』

肺癌に関連するニュースや研究結果、日常臨床の実際などわかりやすく紹介

2020-01-01から1年間の記事一覧

【2020年 大晦日】今年もありがとうございました

ご挨拶 2020年12月31日大晦日です。 今年は皆さまにとっても激動の1年だったかと思いますが わたくしにとっても大変な1年でした。 何とか生き延びることができ、こうしてブログを更新しています。 仕事では今まで肺癌、COPD、喘息、肺炎などの呼吸器診療全般…

テセントリクもか!未治療PD-L1高発現非小細胞肺がんに対してテセントリク単剤承認取得

未治療PD-L1高発現非小細胞肺がんに対してテセントリク単剤承認取得 12月25日に「PD-L1高発現の進行非小細胞肺がんを対象にテセントリク単剤治療が承認」されたとのことです。 もともと抗PD-L1抗体であるアテゾリズマブは進行非小細胞肺がんに対しては『IMpo…

祝!ケアネット ベストピッカー!

祝!ケアネット ベストピッカー このたび、医療情報サイト『ケアネット』から「2020年下期 ベストピッカーアワード」の第1位として表彰されました。 ありがとうございます! 上期に引き続き受賞致しました。 【ケアネット ベストピッカー】‥として表彰されま…

やはり効果は乏しいか…エクソン20ins変異に対するオシメルチニブ62例の報告

『Osimertinib for Chinese advanced non-small cell lung cancer patients harboring diverse EGFR exon 20 insertion mutations』(Lung Cancer 2021;152:39)より まとめ EGFR Ex20Ins変異のある非小細胞肺がんに対するオシメルチニブの奏効率は6.5% 要約…

【ニトリ製品 自主回収】アスベストって何ですか?

ニトリ製品 自主回収 先日、ニトリの製品に基準値を上回る量のアスベストが含まれており、自主回収を始めた・・・といったニュースを拝見しました。 「アスベスト」と聞いて、おそらくあまり知らない方の多いかと思ったことと、肺がんや胸膜中皮腫と関連して…

【Medical Tribune連載 第35回】日本人データも出ました!ALK陽性既治療肺がんでのブリガチニブ

医療情報サイト『Medical Tribune』に記事を寄稿しました。 ALK陽性既治療肺がんでのブリガチニブ 第35回の論文レビューに選んだ論文は 『Brigatinib in Japanese Patients With ALK-Positive Non-Small Cell Lung Cancer Previously Treated With Alectinib…

コロナ感染拡大下の現状での肺がん診療

状況は悪化し続けている 半年ほど前にこんな記事を書きました。 COVID-19の影響と課題の5つのポイントとして、 がん患者さんの受診機会の減少 医療者の感染防護具の不足 積極的治療の忌避 医療機関での面会制限 臨床試験遂行の困難 を挙げさせて頂きましたが…

やはり!抗がん剤の治療強度を落としすぎると生存期間も短縮

『Dose intensity correlate with survival in elderly patients treated with chemotherapy for advanced non-small cell lung cancer』(Lung Cancer 2009;66:94)より まとめ 高齢者肺癌で抗がん剤の治療強度(RDI)が80%未満に減ると生存期間も短縮 要約…

新型コロナ 国の感染者データ集約システム 入力が現場の負担に

わたくしが・・・4月に現場の意見を国に伝えた張本人です NHKがこのような記事を取り上げて下さいました。 わたくしが今年の4月末に当時の内閣府副大臣 平将明さんとやり取りさせて頂き、医療現場の非効率な現状をお伝えした経緯があります。 当時のやり取り…

やっぱアファかオシメか・・・EGFRアンコモン変異陽性非小細胞肺がんの実臨床

『Treatment of Patients With Non-small-cell Lung Cancer With Uncommon EGFR Mutations in Clinical Practice』(Anticancer Res 2020;40:5757)より まとめ アンコモン変異のあるEGFR陽性非小細胞肺がんでは第2世代EGFR-TKIが化学療法よりも長い生存と関…

【GioTag】EGFR陽性非小細胞肺がんに対するアファチニブ→オシメルチニブ治療の最終結果

『Sequential afatinib and osimertinib in patients with EGFR mutation-positive non-small-cell lung cancer: final analysis of the GioTag study』(Future Oncol 2020)より まとめ EGFR陽性非小細胞肺がんに対するGioTag療法の最終OSは37.6カ月 要約 …

【書評】コレは絶対読んだ方がイイ!『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』

書評 『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』 アメリカの国立衛生研究所NIHで研究されている免疫ウイルス学者で病理学の専門医でもあります「ばぶ先生」こと「峰宗太郎先生」の新刊『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』(日本経済新聞…

病気はコロナだけではない

病気はコロナだけではない 通勤時に『NewsPicks』を見ていて震えました。 「医療崩壊」という言葉は、人によって定義も、受け止め方も、感じ方も異なりますが、通常の医療が行えていない時点で「医療崩壊」と呼んでいいのではないでしょうか。 日本は諸外国…

【CheckMate227】ついに承認!IOIOコンビネーション!進行非小細胞肺がんに対するニボルマブ+イピリムマブ併用療法

『Nivolumab plus Ipilimumab in Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer』(NEJM 2019;381:2020)より まとめ 進行非小細胞肺がんにおいてPD-L1発現率に関わらず、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法が化学療法と比較して全生存期間を延長 要約 〇進行非小細胞…

肺がんにニボルマブ+イピリムマブ併用療法が適応追加

非小細胞肺がん治療にイピニボ 11月27日に非小細胞肺がんの治療に ①ニボルマブ+イピリムマブ併用療法 ②ニボルマブ+イピリムマブ+プラチナ併用化学療法 ③ニボルマブ+プラチナ併用化学療法 の3種類の治療法が適応追加となりました。 ①③の治療法については『Che…

全がん種 10年生存率 58%(国立がん研究センターの報告より)

国立がん研究センターは全国がんセンター協議会と協力し、加盟32施設の診断治療症例について部位別に「5年生存率」「10年生存率」を集計し一般公開しました。 今回の公表のポイントは -部位別5年生存率について、2010年から2012年に診断治療を行った148,226…

知ってる?タバコに隠された9つの秘密

タバコに隠された9つの秘密 『新型タバコの本当のリスク』の著者であり、多くの学会でタバコ対策専門委員の1人である大阪国際がんセンター 田淵貴大先生に教えて頂きました。 紙巻きタバコには、タバコが吸いやすくなるような、依存性が自然に高められるよう…

【CodeBreak100】KRAS G12C変異を標的としたソトラシブ

『KRAS G12C Inhibition with Sotorasib in Advanced Solid Tumors』(NEJM 2020;383:1207)より まとめ KRAS G12C変異を標的としたソトラシブはグレード3/4の有害事象を11.6%が報告されたが、肺がんで32.2%、大腸がんで7.1%の奏効率を認めた。 要約 〇KRAS…

【書評・執筆】看護技術~コロナ禍のがん診療の現場で何が起きているか~

執筆しました メジカルフレンド社の『看護技術 2020年12月号』に「コロナ禍のがん診療の現場で何が起きているか」の題名で執筆いたしました。 内容は詳しくお伝えできませんが・・・ COVID-19流行下でがん診療の現場で起きている問題について、患者さんの立…

【CROWN】未治療ALK陽性肺がんに対するロルラチニブは良好な無増悪生存と頭蓋内病変への圧倒的な効果

『First-Line Lorlatinib or Crizotinib in Advanced ALK-Positive Lung Cancer』(NEJM 202;383:2018)より まとめ 未治療ALK陽性非小細胞肺がんでロルラチニブはクリゾチニブに比べ良好な無増悪生存期間と高い頭蓋内病変への効果を示した。 要約 〇ALKに対…

【書評】肺がん診療 虎の巻-WJOG肺がんグループのプラクティス-

書評 『肺癌診療 虎の巻』 西日本がん研究機構WJOGから肺がん診療における実際の臨床でのプラクティス本として出版されました。 監修者である山本信之先生をはじめ、編集者・執筆者を見て頂ければわかる通り、現在の日本の肺がん診療を牽引する先生方が数多…

『肺癌診療ガイドライン』改訂

『肺癌診療ガイドライン 2020年版 悪性胸膜中皮腫・胸腺腫瘍含む』改訂 11月13日に肺癌学会にあわせて『肺癌診療ガイドライン』が改訂されました。 主な改訂ポイントとしましては ■新しいドライバー変異に「MET」が追加 ■「ニボルマブ+イピリムマブ併用療法…

知らなかった!L858R変異は独立した脳転移のリスク因子

『Survival outcomes and symptomatic central nervous system (CNS) metastasis in EGFR-mutant advanced non-small cell lung cancer without baseline CNS metastasis: Osimertinib vs. first-generation EGFR tyrosine kinase inhibitors』(Lung Cancer…

第61回 日本肺癌学会学術集会 閉幕

第61回 日本肺癌学会学術集会 閉幕 先週11月12日~14日までの3日間、岡山で行われていた『日本肺癌学会学術集会』が無事閉幕致しました。 既治療非小細胞肺がんでのナブパクリタキセルのドセタキセルとの非劣性を示した『J-AXEL試験』、ニボルマブとイピリム…

学会参加費の元を取れるか!『第61回 日本肺癌学会学術集会』開幕!

『第61回 日本肺癌学会学術集会』開幕! 本日から3日間、岡山にて『第61回 日本肺癌学会学術集会』が開催されます。 現地とオンラインでのハイブリッド開催ですので、忙しい日常診療の合間でも、岡山が遠くても参加できる可能性がありますし、オンデマンドで…

「#JLCS20」ハッシュタグ発信 第61回 日本肺癌学会学術集会@岡山

肺癌学会 ハッシュタグ発信「#JLCS20」 2020年11月12日(木)~14日(土)まで岡山にて『第61回 日本肺癌学会学術集会-肺癌撲滅を目指して2020-』が開催されます。 会長は岡山大の木浦勝行先生です。 昨年も勝手に行わせて頂きましたが「ハッシュタグ発信」…

【JCOG1205/1206】完全切除の神経内分泌肺がんに対する術後イリノテカン+シスプラチンはエトポシド+シスプラチンを超えられず

『Randomized Phase III Study of Irinotecan Plus Cisplatin Versus Etoposide Plus Cisplatin for Completely Resected High-Grade Neuroendocrine Carcinoma of the Lung: JCOG1205/1206』(JCO 2020, published on Nov. 2)より まとめ 完全切除ステージ…

【書評】ホスピタリスト ~ホスピタリストのための画像診断①胸部・縦隔編~

書評 東大病院放射線科 前田恵理子先生が編集された『ホスピタリスト 画像診断①胸部・縦隔編』を紹介したいと思います。 呼吸器内科医はほぼ毎日胸部X線やCTを見て肺がん、肺炎、呼吸不全など多くの呼吸器疾患の患者さんの診療に当たっています。 わたくし達…

【Medical Tribune動画】第61回 日本肺癌学会の注目ポイントは?

医療情報サイト『Medical Tribune』に来週岡山で行われる「第61回 日本肺癌学会学術集会」での見どころについてコメント動画をアップしました。 肺癌学会の注目演題4選 3日間の会期中に行われる演題から4演題をピックアップしました。 プレナリーセッション…

【Medical Tribune連載 第34回】免疫チェックポイント阻害薬による治療関連肺臓炎の予測に好酸球は使えるか

『Association of baseline peripheral-blood eosinophil count with immune checkpoint inhibitor-related pneumonitis and clinical outcomes in patients with non-small cell lung cancer receiving immune checkpoint inhibitors』(Lung Cancer 2020;1…