医療情報サイト「メディカルトリビューン」さんの連載「みんなで肺がん注目論文 徹底検証しちゃいました」の紹介です。この企画は肺がん診療に重要な論文を、第一線で活躍される先生方とわたくしキュート先生で徹底的に検証しよう、という内容になっています。
連載第9回目は論文の筆頭著者で東北大学病院呼吸器内科病院講師の宮内 栄作 先生に解説を頂きました。
EGFR-TKI+化学療法の効果は?
Updated Analysis of NEJ009: Gefitinib-Alone Versus Gefitinib Plus Chemotherapy for Non-Small-Cell Lung Cancer With Mutated EGFR(J Clin Oncol 2022;40:3587)
日本で実施された第Ⅲ相試験である「NEJ009試験」では、
EGFR変異陽性の未治療にし小細胞肺がんを対象に、
ゲフィチニブ+化学療法併用療法の有効性が検証された。
症例群は
①非扁平上皮非小細胞肺がん
②未治療
③ⅢB/Ⅳ期または術後再発
④20~75歳
⑤PS 0~1
⑥EGFR遺伝子変異陽性
などの条件を満たした患者345例が登録された。
ゲフィチニブ単独群173例と
ゲフィチニブ+化学療法群172例に割り付けられた。
追加解析の対象となった341例における
補正後のPFS2中央値は、
ゲフィチニブ単独群 18.0カ月
ゲフィチニブ+化学療法群 20.9カ月
と有意な延長を示した。
結果はPFS1、PFS2の延長は確認できましたが、OSでの差は示せませんでした。試験の途中でオシメルチニブが承認されたことの影響されているのでは、と考えられます。
近年、進行肺がんの臨床試験のアウトカムとしてOSは最も重要な評価項目とされていますが、医療の進歩や時代背景などの時間軸が重なることで数年にも及ぶOSで評価することは容易でなくなってきています。
EGFR-TKIは内服治療であり、有害事象さえコントロールできれば外来で継続することが容易な治療レジメンでもあります。肺がん診療においては、プラチナ併用化学療法も重要なレジメンであり、併用するメリットは少なからずあるものと考えられます。この「NEJ009」レジメン、一度は試してみたい治療と思っています。
ぜひ宮内先生の鋭い視点と徹底検証を
多くの肺癌診療に携わる医療者に読んで頂きたいと思っています。