『Survival outcomes and symptomatic central nervous system (CNS) metastasis in EGFR-mutant advanced non-small cell lung cancer without baseline CNS metastasis: Osimertinib vs. first-generation EGFR tyrosine kinase inhibitors』(Lung Cancer 2020;150:178)より
まとめ
- EGFR L858R遺伝子変異は独立した脳転移のリスク因子
要約
〇EGFRチロシンキナーゼで治療を受けているEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん症例において、中枢神経系転移は頻度の高い合併症である。
〇しかしながらEGFR-TKI治療中の中枢神経系転移の発生やそのリスク因子については報告が少ない。
〇第1,3世代EGFR-TKIで治療を受けている中枢神経系転移のないEGFR陽性非小細胞肺がん症例を集積した。
〇全生存や、累積中枢神経系転移の発生とそのリスク因子について評価した。
〇813例を登録し、その中で562例がゲフィチニブ、106例がエルロチニブ、32例がオシメルチニブで1次治療を受けており、113例が2次治療でオシメルチニブで治療されていた。
〇フォローアップ期間中央値18.1カ月で、全生存期間中央値45.5カ月、38例が新たに中枢神経系転移を認めた。
〇オシメルチニブは第1世代EGFR-TKIよりも中枢神経系転移を起こしにくい傾向(p=0.059)にあった。
〇しかしながら、症候性の中枢神経系転移の累積発生率のカプランマイヤー曲線は、第1,3世代に関係なく、約3年後にプラトーになる傾向があり、3年を超えると2群間は似通っていた。
〇L858R変異のある症例はエクソン19deletions変異の症例よりも中枢神経系転移を発生しやすい高リスクであった(p=0.001)。
キュート先生の視点
EGFR遺伝子変異陽性肺がんであっても脳転移の有無は予後規定因子として重要です。
いくらEGFR-TKIの効果が高いとはいえ、脳転移はない、あるいは起こらないことに越したことはありません。
エクソン19欠失変異やエクソン21 L858R変異に関してのサブ解析は最近多くなされており、それぞれの特徴が分かってきているところですが、脳転移のしやすさに関しては存じ上げませんでした。
少し頭部病変の評価のタイミングを早めて実臨床に活かしていきたいと思います。