キュート先生の『肺癌勉強会』

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【GioTag】EGFR陽性非小細胞肺がんに対するアファチニブ→オシメルチニブ治療の最終結果

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『Sequential afatinib and osimertinib in patients with EGFR mutation-positive non-small-cell lung cancer: final analysis of the GioTag study』(Future Oncol 2020)より

まとめ

  • EGFR陽性非小細胞肺がんに対するGioTag療法の最終OSは37.6カ月

要約

〇アファチニブ→オシメルチニブのシーケンス治療を受けたEGFR陽性非小細胞肺がん症例の最終全生存期間や治療期間の解析が出た。

〇1次治療としてアファチニブで治療さた症例のうちT790M耐性変異が検出され、オシメルチニブをデータ登録時から10カ月以上投与された203例の解析。

〇主要評価項目は治療期間とし、生存解析は探索的項目とされた。

アファチニブ→オシメルチニブの治療期間の中央値は27.7カ月(90%CI:26.7-29.9カ月)。

全生存期間の中央値は37.6カ月(90%CI:35.5-41.3カ月)だったが、

 -Ex19 Deletions変異例 41.6カ月

 -アジア人 44.8カ月

の全生存の結果だった、

〇実臨床のリアルワールドデータにおいて「GioTag療法」はEGFR陽性非小細胞肺がん、特にEx19 Deletions変異/アジア人の症例に期待できる結果と関連していた。

キュート先生の視点

EGFR陽性非小細胞肺がんの治療戦略を考えるうえで、大変重要な試験結果です。

EGFR陽性非小細胞肺がんの治療と言えば「オシメルチニブで決まり」という考え方の先生もいらっしゃるかと思いますが、アファチニブの既存の報告をひたすら読み解いていくと、そうでもないような気がしてなりません。

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本論文の最後に『GioTag試験』のコンセプトが掲載されておりますが、本当に肺がん症例の身体の中でこのように分かりやすくことが進んでいるとも思いませんが、大変理解できます。

あとアファチニブを1次治療で開始した場合には、2次治療以降でT790M耐性変異を検出しなければオシメルチニブを使用できないストラテジーとなっておりますが、再生検の負担を差し引いてもアファチニブ→オシメルチニブのシーケンス治療は一定の症例にメリットがあると思っております。

アファチニブが活きるであろうコンパウンド変異を含むことが多いEx 21 L858R変異であったり、Ex20ins変異以外のマイナー変異だったりも該当しますが、Del19症例に関しても場合によってはアファチニブを活かすことができるのでは、と勝手に思っております。

現在、神戸低侵襲医療センターの秦先生主導で『GioTag Japan試験』が進行中ですが、そのような結果が分かれば、よりEGFR陽性肺がんの治療戦略の一助になると考えています。