Pembrolizumab versus placebo as adjuvant therapy for completely resected stage IB–IIIA non-small-cell lung cancer (PEARLS/KEYNOTE-091): an interim analysis of a randomised, triple-blind, phase 3 trial(Lancet Oncol 2022, Published Online
September 12, 2022)
まとめ
ステージIB-IIIA期の完全切除後アジュバントとしてのぺムブロリズマブは無病生存期間DFSを延長させる
要約
〇ぺムブロリズマブは進行非小細胞肺癌の標準治療であり、今回はステージIB-IIIA期の手術で完全切除された非小細胞肺癌に対する術後治療としてのぺムブロリズマブの効果を評価しました。
〇この『PEARLS/KENOTE-091試験』は無作為化、トリプルブラインド(参加者、調査者、解析者いずれもブラインド)、第3相試験です。
〇病理学的にIB-IIIA期と診断され完全切除された非小細胞肺癌が登録されました。
〇症例はぺムブロリズマブ200mgあるいはプラセボが3週間ごと、最大18コースまで投与されました。
〇主要評価項目は全症例での無病生存期間DFSと、PD-L1発現率50%以上の症例での無病生存期間DFSとされました。
〇2016年1月-2020年5月までに1955例がスクリーニングされ、1177例が無作為化されました。
〇ぺムブロリズマブ群に590例(PD-L1高発現 168例)、プラセボ群に587例(PD-L1高発現 165例)が振り分けられました。
〇中間解析まで35.6カ月のフォローアップ期間の中央値において、全症例での無病生存期間DFSの中央値は
-ぺムブロリズマブ群 53.6カ月(95%CI:39.2カ月-未到達)
-プラセボ群 42.0カ月(95%CI:31.3カ月-未到達)
という結果でHR 0.76(95%CI:0.63-0.91、P=0.0014)とぺムブロリズマブ群が有意に延長しました。
〇PD-L1高発現の症例では
-ぺムブロリズマブ群 未到達(95%CI:44.3カ月-未到達)
-プラセボ群 未到達(95%CI:35.8カ月-未到達)
という結果でHR 0.82(95%CI:0.57-1.18、P=0.14)でした。
〇グレード3以上の有害事象がはぺムブロリズマブ群で34%、プラセボ群で26%に認められました。
〇ぺムブロリズマブ群で6%に高血圧、2%に肺炎を認めました。
〇死亡に繋がる治療関連有害事象はぺムブロリズマブ群で4例(1%)に認め、1例は心筋炎による心原性ショック、1例は心筋炎による敗血症性ショック、1例は肺炎、1例は突然死で、プラセボ群では治療関連誌は認めませんでした。
〇術後アジュバントとしてのぺムブロリズマブは完全切除後の非小細胞肺癌においてPD-L1発現率によらずDFSを改善しました。
キュート先生の視点
最近、肺癌周術期の治療の進歩が目覚ましいことになっています。術前ニボルマブ+化学療法を評価した『CheckMate816試験』、EGFR陽性非小細胞肺癌に対する術後オシメルチニブを評価した『ADAURA試験』、術後化学療法後のアテゾリズマブの維持治療の効果を見た『IMpower010試験』など大変有望な結果が数多く報告されています。
本研究『PEARLS/KENOTE-091試験』においても、主要評価項目である無病生存期間DFSは登録された完全切除後の症例においてぺムブロリズマブが有効であることが示されました。
ただ最も効果を期待したいPD-L1高発現群に関してはハザード比は0.82であったものの、95%信頼区間は「1」をまたぐ結果となりました。論文中のサブグループ解析においてもPD-L1低発現や未発現群よりもややプラセボ群に寄っています。もちろん中間解析の結果ですし、症例は限定されていることは差し引いて考える必要がありますが、PD-L1高発現群では正直もっとペムブロリズマブの効果を期待したかったところがあります。
さらにサブグループ解析をみると、扁平上皮癌やステージIIIA期においてもややペムブロリズマブの効果がいまいちなところが浮き彫りとなり、今後のデータ解析やオピニオンリーダーの先生方の本研究の解釈について注目したいところです。