『A Randomized, Placebo-Controlled Trial of Pembrolizumab Plus Chemotherapy in Patients With Metastatic Squamous NSCLC: Protocol- Specified Final Analysis of KEYNOTE-407』(JTO 2020;15:1657)より
まとめ
- 未治療進行扁平上皮肺がんに対するぺムブロリズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル/ナブパクリタキセルの全生存期間は17.1カ月、無増悪生存期間は8.0カ月
要約
〇この『KEYNOTE407試験』ではカルボプラチン+パクリタキセル/ナブパクリタキセル+ぺムブロリズマブによる治療が化学療法単独による治療よりも未治療進行扁平上皮肺がんに対して全生存期間と無増悪生存期間を延長したことを以前に示している(↓)
〇2回目の中間解析が有効であったことが示された後、プラセボを投与されている症例は病勢増悪時にぺムブロリズマブ単剤へクロスオーバーして投与できることとした。
〇主要評価項目は全生存期間と無増悪生存期間とした。
〇無増悪生存期間2(PFS2)は無作為化から次治療での病勢増悪までの期間俊、探索的評価項目とされた。
〇中央値で14.3カ月のフォローアップ期間で解析された。
〇全生存期間の中央値は
-ぺムブロリズマブ併用化学療法群 17.1カ月(95%CI:14.4-19.9カ月)
-化学療法群 11.6カ月(95%CI:10.1-13.7カ月)
でぺムブロリズマブ併用化学療法群が有意に延長した(HR 0.71、95%CI:0.58-0.88)。
〇無増悪生存期間の中央値は
-ぺムブロリズマブ併用化学療法群 8.0カ月(95%CI:6.3-8.4カ月)
-化学療法群 5.1カ月(95%CI:4.3-6.0カ月)
でぺムブロリズマブ併用化学療法群が有意に延長した(HR 0.57、95%CI:0.47-0.69)。
〇探索的評価項目であるPFS2は1次治療でぺムブロリズマブを併用した症例が長かった(HR 0.59、95%CI:0.49-0.72)。
〇奏効率は
-ぺムブロリズマブ併用化学療法群 62.6%
-化学療法群 38.4%
であり、PD-L1発現率≧1%の症例(353例)では
-ぺムブロリズマブ併用化学療法群 59.1%
-化学療法群 37.3%
PD-L1発現率<1%の症例(194例)では
-ぺムブロリズマブ併用化学療法群 67.4%
-化学療法群 41.4%
であった。
〇グレード3-5の有害事象はぺムブロリズマブ併用化学療法群が74.1%、化学療法群が69.6%であった。
キュート先生の視点
既に実臨床では進行/転移性扁平上皮肺がんの1次治療としてこの『KEYNOTE407試験』のカルボプラチン+パクリタキセル/ナブパクリタキセル+ぺムブロリズマブによる治療が幅広く使われているものと思います。
本研究の結果からも進行扁平上皮肺がんの1次治療は禁忌さえなければぺムブロリズマブ併用化学療法で間違いないものと考えることができます。
先日、『SQUARE試験』の結果を受けて扁平上皮肺がんに対してヒト型EGFRモノクローナル抗体であるネシツムマブ(ポートラーザ®)が承認されましたが、今後、KEYNOTE407レジメンが活きる症例とネシツムマブが活かせる症例についても広く勉強していきたいと考えています。