日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣範之先生の『ダイヤモンドオンライン』の記事を4回にわたって紹介します。今回は3回目になります。
勝俣先生は国立がんセンター中央病院内科レジデントから同病院の薬物療法室長などを経て現職に就かれている抗がん剤治療のパイオニアとして御高名な先生です。
『最高のがん治療』というがん診療に携わる医療者やがん患者さん向けの、科学的根拠に基づいたがんの書籍も出版され、わたくしもいつも勉強させて頂いております。
がんの原因となる生活習慣のほとんどは「たばこ」
喫煙により多くの発がん性物質が吸い込まれると、煙の通り道である肺、口腔、咽頭や汚い唾液を飲み込むことで食道、胃、そして肝臓や膀胱などのがんの原因となります。
しかしながら喫煙のような外的要因で発がんするのは、がんの原因の約30%程度であり、半数以上は偶発的に遺伝子異常が起こることによります。
抗がん剤のイメージ
勝俣先生も仰られておりますが、わたくしも15年以上前に最初に抗がん剤による治療を受けている患者さんを目の前にした時に、その副作用がかなり強いことを目の当たりにしました。その後、医療の進歩により抗がん剤も副作用のより少なく効果の高い組み合わせや、補助療法の進歩により、嘔気、皮疹や血液毒性はかなり抑えられている印象があります。
ただ近年開発されている抗がん剤や免疫治療薬は画期的な薬剤であることは間違いありませんが、万人に効く、いわゆる「万能薬」ではないことは覚えておく必要があります。
勝俣先生のお話は大変実践的で、「いま」のがん診療を冷静に捉えており、われわれがん診療に携わる医療者も目を通すべき内容ですし、がん患者さんにとってもそのご家族にとっても、正しいがん情報を手に入れるという意味で知って損はないと思います。
このコラムを通して、そして勝俣先生の著書である『最高のがん治療』を通して、正しく分かりやすい医療情報が広まり、がん患者さんが不利益を被ることなく治療に専念できますよう心から願っています。