日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣範之先生の『ダイヤモンドオンライン』の記事を4回にわたって紹介します。
勝俣先生は国立がんセンター中央病院内科レジデントから同病院の薬物療法室長などを経て現職につかれている抗がん剤治療のパイオニアとして御高名な先生です。
先日も『最高のがん治療』というがん診療に携わる医療者やがんを患った患者さん向けの科学的根拠に基づいたがんの書籍を出版され、いつも勉強させて頂いております。
全く根拠がないがんの自由診療が放置されている
『ダイヤモンドオンライン』でのコラムの第1回目は「根拠のないがんの自由診療に対する警鐘」についてです。
『最高のがん治療』の著者である勝俣範之先生、大須賀覚先生、津川友介先生、いずれの先生も日本には正しい「がん」についての情報が少ないことを懸念されており、分かりやすく正しいがん情報をまとめた書籍の出版に至ったとのこと。
いわゆる「トンデモ医療」と呼ばれるような
-こうすればがんが消える
-この食事でがんが小さくなる
-この治療はがん予防に有効
などなどの文言で日本のメディアで拡散されていることを心配されています。
海外では医療情報に関してはかなり厳しく規制されているとのことですが、日本ではそうではありません。
トンデモ医療は都合がよく、分かりやすく、がん患者さんの弱みにつけこんで・・・ワラにもすがりたい人たちが飛びつきやすい情報を垂れ流している
本当にわたくしもそう思います。ためしに「がん治療」とYahoo!やGoogleで検索すると、最初の方に怪しい医療情報がたくさん検索されます。しかもそのようなエビデンスの乏しいがん治療を「自由診療」として高額な治療費をとるケースがあります。
日本緩和医療学会が出版する『がんの補完代替療法 クリニカルエビデンス』でも示されていますが、がんに直接効果があると示された「民間療法」は一つもないことが分かっています。健康食品、漢方、サプリ・・・などなど。多くのがんの予防効果や治療効果などを謳った商品が思い浮かびますよね。
勝俣先生も仰られていますが、そのような補完代替療法ががんに効果を示すのであれば、病院でいち早く採用して患者さんに勧めています。
現在、日本のガイドラインで採用されているがん治療に関しては、多くの臨床試験や数々のプロセスを経て認められている薬剤や治療法しか「標準療法」として残っていない、ということを理解して頂きたいと思います。
今日からのがん診療にも勝俣先生のコメントを活かし、がん患者さんと共に戦っていきたいと思っています。