Amivantamab in EGFR Exon 20 Insertion–Mutated Non–Small-Cell Lung Cancer Progressing on Platinum Chemotherapy: Initial Results From the CHRYSALIS Phase I Study(JCO, published on Aug. 2, 2021)より
まとめ
- EGFRエクソン20挿入変異陽性の非小細胞肺がんに対するアミバンタマブの奏効率は40%
要約
〇エクソン20挿入変異(Ex20ins)陽性非小細胞肺がんは、今まで承認されたEGFRチロシンキナーゼ阻害薬に対して固有の耐性を持つ。
〇EGFR/MET二重特異性抗体で免疫活性のあるアミバンタマブはそれぞれのチロシンキナーゼ阻害薬の結合部位での耐性をバイパスするような細胞外ドメインに結合する。
〇『CHRYSALIS試験』はEx20ins変異陽性非小細胞肺がん症例を含む、オープンラベル、第1相試験、用量漸増試験と用量拡大試験である。
〇主要評価項目は用量規定毒性と奏効率とした。
〇プラチナ併用療法治療後のEGFR Ex20ins変異陽性の非小細胞肺がん症例で第2相試験の用量のアミバンタマブ1050mg(80kg以上は1400mg)を最初の4週間は1週間毎投与、5週目以降は2週間毎に投与された。
〇効果を見るための81例の症例群では、年齢の中央値は62歳、49%はアジア人、過去の治療レジメン数の中央値は2レジメンだった。
〇奏効率は40%(95%CI:29-51%)であり、3例のCRを含んでいる。
〇奏功期間の中央値は11.1カ月(95%CI:6.9-未到達)であった。
〇無増悪生存期間の中央値は8.3カ月(95%CI:6.5-10.9カ月)であった。
〇安全性を見るための114例の症例群では、最も頻度の高い有害事象は
-皮疹 86%
-infusion reaction 66%
-爪囲炎 45%
であった。
〇最も頻度の高いグレード3/4の有害事象は5%で高カリウム血症、皮疹、肺塞栓症、下痢、好中球減少症が4%ずつで認められた。
〇治療関連で用量減少や治療中止された症例は13%と4%で報告された。
キュート先生の視点
EGFRエクソン20挿入変異のある非小細胞肺がんに朗報です。以前から学会などで注目されていたアミバンタマブの第1相試験の結果がJCO誌に報告されました。
EGFRエクソン20挿入変異はEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)の効果が薄いことが以前から分かっておりました。
第2世代EGFR-TKIやオシメルチニブによる検討がなされてきましたが、結果は振るわずに化学療法の方が良好な結果が示された報告もあります。
今回はEGFR/MET二重特異性抗体で免疫活性のある「アミバンタマブ」の用量決定と奏功率を見た第1相試験の結果です。EGFRエクソン20挿入変異の方で、いまかいまかと待ち望んでいる方が全国にいらっしゃるかと思っています。今後できる限り早くに第2相試験の結果が判明して実臨床で活かせるようになることを願います。