※この記事はMedical Tribune内の『Oncology Tribune』に寄稿した記事のリライトになります。
Efficacy of immune check-point inhibitors (ICPi) in large cell neuroendocrine tumors of lung (LCNEC)(Lung Cancer 2020;143:40)
肺癌診療に携わっている多くの先生方は肺の大細胞神経内分泌腫瘍LCNECに対する治療で頭を悩ませていることでしょう。特にLCNECに対する免疫治療(免疫チェックポイント阻害薬:ICI)に関してはエビデンスに乏しく、効果や有害事象に関して患者さんにお伝えしにくい現状があります。
今回の報告は37例の小さな報告ですが、きっと実臨床に役立つ報告だと思って紹介することにしました。
本研究では進行期のLCNEC症例がDavidoffがんセンターデータベースから37例選択されました。症例は
-グループA1:23例、ICI治療群
-グループA2:14例、ICIで治療されなかった群
に分けられました。
グループA1 のうちA1*21例はICI単独治療がなされました。
そして対照群としてイスラエルの5つのがんセンターにてニボルマブで治療されたグループB:270例、進行期非LCNEC治療群が比較対象として選択されました。
結果はICI単独治療群であるA1 *群では
奏効率 33%
ICIでのPFS中央値 4.2カ月(95%CI、2.4-8.1カ月)
でした。
ICIを使用後のOSの中央値は
-グループA1 * 11.8か月(95%CI、3.7-NR)
-グループB 6.9か月(95%CI、5.5–8.1)
でした(p=0.23)。
診断後のOS中央値は
-グループA1 14.5か月(95%CI、10.1-38.9)
-グループA2 10.3か月(95%CI、2.6-NR)
という結果(p=0.54)でした。
LCNECは腺癌や扁平上皮癌よりもエビデンスに乏しく治療選択肢に難渋することがあります。一般的には治療の導入期には神経内分泌腫瘍として小細胞肺癌に準じた治療を行うことがありますが、治療効果が不十分な経過を辿ることが多いです。個人的には2次治療以降はLCNECを小細胞肺癌ではない組織型、と考え「非小細胞肺癌」として治療戦略を考えています。
本研究では免疫治療の効果は進行非小細胞肺がんでの効果に匹敵する結果が示されました。しかしながらまだまだ少数例での検討ですので、全症例に当てはめることはできませんが、今後のデータの集積に期待したいところです。実臨床でLCNECに対して免疫治療を選択する一助になれば幸いです。