『Continuous Versus 1-Year Fixed-Duration Nivolumab in Previously Treated Advanced Non–Small-Cell Lung Cancer: CheckMate 153』(JCO 2020, Published online Sep. 10, 2020.)より
まとめ
- 進行非小細胞肺がんに対しニボルマブは1年でやめるよりも継続した方が無増悪生存期間も全生存期間も延長する
要約
〇非小細胞肺がんに対する免疫治療の継続に関してはデータが限られている。
〇この探索的研究である『CheckMate153試験』は既治療進行非小細胞肺がんでニボルマブ単剤治療を行った症例1428例が登録された。
〇1年経過した時点で、治療が奏功しているかどうかに関わらず、ニボルマブを継続する「継続群」に127例、治療を1年で中止する「1年固定群」に125例を無作為に振り分け、「ITTグループ(population)」として解析された。
〇78例は医師判断で臨床的にメリットがあると判断しPD後もニボルマブを継続しており、継続群に38例、1年固定群に40例含まれた。
〇継続群で89例、1年固定群で85例は病勢増悪することなく1年経過しており、これを「PFSグループ(population)」として解析した。
〇PFSグループでの無増悪生存期間の中央値は
-継続群:24.7カ月
-1年固定群:9.4カ月
で(HR 0.56、95%CI:0.37-0.84)あり、ニボルマブを継続した方がPFSを有意に延長した。
〇特に評価でCR/PRが得られた群62例でニボルマブを継続した群のPFSは31.0カ月、OSは未到達であった。
〇PFSグループにおいて全生存期間の中央値は
-継続群:未到達
-1年固定群:32.5カ月
で(HR 0.61、95%CI:0.37-0.99)で継続群が有意にOSを延長した。
〇ITTグループにおいて全生存期間の中央値は
-継続群:未到達
-1年固定群:28.8カ月
で(HR 0.62、95%CI:0.42-0.92)で継続群が有意に延長した。
〇新規の安全性シグナルは報告されなかった。
キュート先生の視点
実臨床の疑問に即した、素晴らしい論文だと勝手に評価しています。
現行の肺癌診療ガイドライン上では、ニボルマブは進行非小細胞肺がんの2次治療以降に使用できる薬剤になっております。
わたくしの症例でもニボルマブを長く継続している方が数名いらっしゃいますが、1例で患者さんの希望もあり2年経過した時点で休薬したのですが、患者さんご自身も継続している方が調子が良い・・・との理由で現在も継続しておりますが、約4年近く病勢増悪することなく経過できております。
論文中のサブグループ解析においても多くの項目で検討がなされておりますが、性別によらず、年齢のよらず、喫煙歴やPD-L1のステータスや組織型にもよらず、ニボルマブを継続している人は1年で辞めない方が良い「継続群」に点推定値がプロットされておりました。
特にCR/PRが得られた症例の場合にはニボルマブの継続がPFSにもOSにもとても意味があるような生存曲線が描かれております。
患者さんにとって朗報なのか、いつまでも治療は辞められないので朗報でないのかは分かりませんが、今後もニボルマブを含めて免疫治療を継続できている人は粘り強く治療を続けていきたいと思わせられた論文でした。