キュート先生の『肺癌勉強会』

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【NEJ026】EGFR陽性非小細胞肺癌でのエルロチニブ+ベバシズマブの効果予測因子としての血漿EGFR遺伝子変異

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『Evaluation of plasma EGFR mutation as an early predictor of response of erlotinib plus bevacizumab treatment in the NEJ026 study』(EBioMedicine 2020;57:102861)より

まとめ

  • 治療開始時に血漿EGFR変異が検出されない症例が無増悪生存期間が延長する

要約

 〇『NEJ026試験』の結果から、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌においてエルロチニブ+ベバシズマブ併用療法は無増悪生存期間が延長することが示された。

〇この『NEJ026試験』では治療開始時(P0)、治療開始6週間後(P1)、病勢増悪時(P2)で血漿サンプルが採取されている。

〇P0時点での血漿サンプルで活性化EGFR遺伝子変異が68%の症例で検出された。

P0時点での血漿サンプルでEGFR遺伝子変異が検出されなかった症例の方が検出された症例よりも無増悪生存期間PFSが延長した(16.9カ月 vs 12.5カ月)。

〇またP0でも、治療開始後のP1でも血漿サンプルでEGFR遺伝子変異が検出された症例はエルロチニブ+ベバシズマブ併用療法でもエルロチニブ単剤療法でもPFSが短かった。

〇また病勢増悪のP2の時点でT790M耐性遺伝子変異陽性の確認できた症例はできなかった症例に比べてPFSが延長する傾向にあった。

キュート先生の視点

昨日紹介した、EGFR陽性非小細胞肺癌に対するエルロチニブ+ベバシズマブ併用療法の効果と安全性を見た『NEJ026試験』の効果予測因子を検討した本研究です。

治療経過の各時点で血漿サンプルでのcirculating tumor DNA(ctDNA)でEGFR変異を確認し、EGFR-TKIの効果との関係を調べた興味深い研究です。

本研究からはそもそも血漿サンプルでEGFRが確認できたら予後不良、そしてEGFRが確認できても6週間後で消え去れば少し予後が期待でき、消えなければ予後不良、と解釈することができます。そして、無増悪生存期間と結びつけることはできませんが、病勢増悪時にT790M耐性遺伝子変異の検出ができた群に予後良好群が多かった、と考えることができます。裏を返せば早期に病勢増悪してしまった症例に関しては、「T790M耐性遺伝子変異」以外の耐性パターンを念頭に置く必要がありそうです。

病状の変化をみながらこの血漿サンプルでEGFRをチェックすることが、実臨床でも症例の予後を先読みする意味で活かせるかもしれません。