キュート先生の『肺癌勉強会』

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「COPD」と診断されることが独立した肺がんの危険因子

肺癌, 肺癌勉強会, COPD

『COPD prevalence is increased in lung cancer, independent of age, sex and smoking history』(Eur Respir J 2009;34:380)より

肺がん症例のCOPD有病率は肺がんのない喫煙者と比べ6倍

タバコによる肺の有名な病気のうちの一つに「COPD」(慢性閉塞性肺疾患、chronic obstructive pulmonary disease)があります。

簡単に言うと、「喫煙歴」があり肺機能検査で「閉塞性換気障害」を認めると『COPD』と概ね診断することができます。

「閉塞性換気障害」は専門的には「1秒率が70%未満」のことですが、分かりやすく言うと「息の吐き出しにくい状態」のことです。

喫煙歴があり、息が吐きだしにくい状態でせき、たん、息切れなどの症状があれば「COPD」を強く疑います。

 

[肺機能検査で閉塞性換気障害を見つける]

COPDは肺がんによく見られる併存症であり、肺がん症例の40-70%に発症すると推定されています。

COPDや肺がんと診断された人の約9割は喫煙歴があるため、2つの病気が共存している可能性があります。

本研究では、肺がんと診断された症例におけるCOPDの有病率を、肺癌症例301例と年齢、性別を一致させたランダムに採用されたコントロール群301例とを比較検討しました。

研究からは

 

 肺がん症例におけるCOPDの有病率は、肺がんのない喫煙者よりも6倍高い

 

ということが分かりました。

本研究では「COPD」が肺がんの一般的で重要な独立した危険因子であると結論付けています。

喫煙歴がある場合には一度「肺機能検査」を

現在、コロナ禍において飛沫を発生させる可能性のある肺機能検査(呼吸機能検査)は控えられている医療機関も多いかと思いますが、COPD診断のためには重要な検査のうちの一つです。

喫煙歴がある場合には一度肺機能検査を行って肺の状態を確認してみることが肺がんリスクを見つける一つの手がかりとなりますので、ぜひ意識してみて下さい。