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【書評】『新妻免疫塾』分かりやすさ以上に優しさを感じることができる免疫学・ウイルスの教科書

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書評 優しさを感じられる本

スタンフォード大学で免疫学の研究を行う新妻耕太先生と奥様のLucy先生が、ゼロから「免疫」や「ウイルス」について学べるよう出版された本を隅々まで丁寧に読ませて頂きました。

 

読み終わった感想を一言で言わせて頂きますと、著者の新妻先生の

 

 優しさ

 

を感じることができる本です。

 

免疫学って難しくてとっつきにくいですよね

今まさに日本でも全世界でも人類とウイルスが戦っている最中です。

 

日々、ウイルスのこと、免疫のこと、ワクチンのこと・・・

多くの話題が目まぐるしく飛び交っていますが、

医師として最前線の現場に立つわたくしでも難しい内容が多く、

残念ながら全ての内容は理解できていません。

 

特に「免疫学」は医学の発展も著しく、

わたくしが医学生として勉強した20年以上前を思い起こしますと、

苦い思い出しかありません。

 

免疫学の重鎮 子安重夫先生の穏やかだけど超・難解な講義を聴き、

子安先生の著書『免疫学はやっぱりおもしろい』を10回くらい通読して、

何とか試験を合格点ギリギリで通すのがやっと、

 

だった記憶しかありません。

 

医者になってからも時々免疫の勉強をし直す機会はありましたが、

年々新しいことが分かるので、

着いていくのが大変で理解するのが難しい分野であることは間違いないです。

 

それが免疫学です。

 

『新妻免疫塾』の構成と内容

本書の1番の特徴は、読者の知識レベルによって

 

 -講義パート

 -解説パート

 -コラムパート

 

に分けられており誰でもとっつき易いように構成されていることです。

 

「講義」で内容の概要を思い描き、

「解説」で深く踏み込んでいき、

さらに関連する「コラム」で発展的な知識を得ることができます。


内容もウイルスや免疫を理解するための

 

 -生物学の基礎

 -感染拡大の仕組み

 -免疫学の基礎

 -様々な検査方法

 

が順々に解説されており、

読者が理解することを一番に考えられた流れになっています。

 

ココに新妻先生の「優しさ」を感じるコトができます。


また理解がより深まるように最近よくお見掛けする「いらすとや」さんと

12歳のイラストレーター「コヤマノゾミ」さんのかわいいイラストも

本書の中にふんだんに使われており、

免疫学を始めて勉強する人にとっても頭にイメージしやすくなっています。

 

純粋な感想

免疫学やウイルス学について系統立って勉強したのはしばらくぶりですが、

基礎中の基礎の知識から理解することができました。

 

20年以上前の医学生だった頃や、10年ほど前の大学での研究期間に、

この本や新妻先生に出会っていたら今もう少し自分も違っていたのでは、

と思える免疫学・ウイルス学の教科書です。


免疫・ウイルス・ワクチンについて基本的かつ正しい知識を得ることで、

 

今後のコロナとの長い戦いにおいても、

 

厳しいウィズコロナ時代を生きていく上でも、

 

多くの人にとって本書が大きな支えになるものと考えます。

 

ぜひ多くの医療従事者にも読んで欲しい本書ではありますが、

 この現状で免疫やウイルスに興味がある非医療者でも

 

 じっくり読んでみたい1冊

 

として紹介させて頂きました。

 

一度、新妻先生夫妻の優しさに触れてみてはいかがでしょうか。