医療情報サイト「メディカルトリビューン」さんの連載「みんなで肺がん注目論文 徹底検証しちゃいました」の紹介です。この企画は肺がん診療に重要な論文を、第一線で活躍される先生方とわたくしキュート先生で徹底的に検証しよう、という内容になっています。
連載第3回目は愛媛大学病院地域胸部疾患治療学講座教授の野上尚之先生に解説いただきました。
ドライバー遺伝子陽性肺がんへのABCP療法は有用か
IMpower150試験のOS最終探索的解析
IMpower150 Final Exploratory Analyses for Atezolizumab Plus Bevacizumab and Chemotherapy in Key NSCLC Patient Subgroups With EGFR Mutations or Metastases in the Liver or Brain(JTO 2022;17:309)
EGFR陽性非小細胞肺癌症例におけるABCP療法の効果について、肝転移の有無や脳転移の有無で検証した野上先生の論文です。
EGFR変異陽性群でのOS中央値は、
BCP群 20.3カ月 vs ABCP群 26.1カ月
でありHR 0.91(95%CI 0.53-1.59)。
sensitizing EGFR変異陽性群でのOS中央値は
BCP群 18.1カ月 vs ABCP群 29.4カ月
とよりその差が開く結果でした。
ベースライン時に肝転移を認めた群でのOS中央値は
BCP群 9.1カ月 vs ABCP群 13.2カ月
でした。
免疫治療の効果が薄いとされるEGFR陽性症例や肝転移症例に対してアテゾリズマブやベバシズマブの組み合わせが可能性を示しました。今回は探索的解析ではありますが、臨床的な意義がとても大きいものと捉えることができそうです。
ぜひ野上教授との徹底検証を多くの肺癌診療に携わる医療者に読んで頂きたいと思っています。