※この記事はMedical Tribune内の『Oncology Tribune』に寄稿した記事のリライトになります。
Previous Immune Checkpoint Inhibitor Treatment to Increase the Efficacy of Docetaxel and Ramucirumab Combination Chemotherapy(Anticancer Res 2019;39:4987)
現在の進行非小細胞肺癌の1次治療では、免疫治療と化学療法を同時に行う複合免疫療法(ケモコンボ)が幅広く活用されています。高い奏効率と長期の奏功が期待できる傍ら、ケモコンボ治療中に早期に病勢進行してしまった場合や有害事象で継続困難になってしまった場合には後治療に頭を悩ませてしまうことが少なくありません。
今回の四国がんセンターからの報告では免疫チェックポイント阻害薬治療後のドセタキセル+ラムシルマブ療法(通称「ドセラム」)の効果について検証されています。
ドセラムが行われた39例の解析で、18例(46%)が前治療に免疫治療がなされておりました。
奏効率は
-免疫治療あり群 38.9%
-免疫治療なし群 19.0%
無増悪生存期間の中央値は
-免疫治療あり群 5.7カ月
-免疫治療なし群 2.3カ月
という結果が示されました。
ドセラムによる治療が行われた39例におけるPFSの多変量解析では、「前治療として免疫治療が行われている」群が有意にPFS延長と関連が確認されました。
DISCUSSIONでも記載されていますが、ICI→ドセラムの効果が高かった理由として、①腫瘍の微小環境を変える、②ドセラム療法がICIの耐性メカニズムに打ち勝つ治療かも、と考察されています。免疫治療が非小細胞肺癌治療の主流となっている現状では、ドセラム療法は後治療の大事なレジメンと考えています。
わたくしとしても肺癌治療は1次治療から後治療までのトータルシーケンスが重要と考えていますので、このような後治療のデータも常々目を光らせています。
また重要なデータや本研究に対するご意見などがありましたら教えて下さい。