医師向け薬剤比較アプリ『イシヤク』内の肺癌トピックに寄稿した記事を紹介します。
肺癌領域でも分子標的薬の開発が日々進んでいます。近年まで研究/開発が困難とされてきたKRAS変異に対しても治療薬が登場してきました。
2013年にKRAS遺伝子G12C-GDP複合体にスイッチIIポケットと呼ばれる部位が特定されたことでKRAS遺伝子G12Cに対する特異的阻害薬の研究が進みました。
2020年にKRAS遺伝子G12C変異陽性の固形癌に対するソトラシブの効果や安全性が検証された第1相試験の結果が報告(NEJM 2020;383:1207)されました。
KRAS遺伝子G12C変異陽性の固形癌129例が登録され、そのうち59例の非小細胞肺癌が評価されました。この試験での奏効率は32.2%とされました。次いで2021年に既治療KRAS遺伝子G12C変異陽性の非小細胞肺癌に対してソトラシブによる効果を評価した『CodeBreaK100試験』が報告(NEJM 2021;384:2371)されました。
126例を対象として評価された本研究はソトラシブの奏効率 37.1%、PFS中央値 6.8カ月、OS 12.5カ月と報告されました。このような研究結果から、KRAS遺伝子G12C変異陽性例に対し二次治療以降でソトラシブ単剤療法が(推奨度1C、合意率67%)と『肺癌診療ガイドライン2021年度版』で記載されています。
今回ソトラシブと同じくG12C-GDP複合体にスイッチIIポケットに特異的に結合し、RASサイクルを不可逆的に停止させるKRAS遺伝子G12C阻害薬であるアダグラシブに対する効果を示した第2相試験である『KRYSTAL-1試験』(NEJM 2022;387:120)の結果を紹介します。
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