医療情報サイト「メディカルトリビューン」さんの連載「みんなで肺がん注目論文 徹底検証しちゃいました」の紹介です。この企画は肺がん診療に重要な論文を、第一線で活躍される先生方とわたくしキュート先生で徹底的に検証しよう、という内容になっています。
連載第4回目は今回紹介する論文の筆頭著者で千葉大学病院 呼吸器内科の齋藤 合 先生と新潟県立がんセンター 新潟病院 内科部長の三浦 理 先生に解説を頂きました。
デュルバルマブ維持 肺臓炎リスクは?
Real-world survey of pneumonitis and its impact on durvalumab consolidation therapy in patients with non-small cell lung cancer who received chemoradiotherapy after durvalumab approval (HOPE-005/CRIMSON)(Lung Cancer 2021;161:86)
CRT後に肺臓炎あるいは症候性肺臓炎を認めた患者は
全グレードでそれぞれ、83%(251例)、34%(103例)。
グレード3以上の肺臓炎は7%(21例)。
そのうちグレード5(死亡)は1%(4例)だった。
肺臓炎を発症した251例のうち、
217例は放射線肺臓炎、7例が免疫性肺臓炎、
27例が両者の合併と診断された。
CRTの開始から肺臓炎発症までの期間中央値は92日。
グレード2以上の肺臓炎が事前に出現していた患者で
デュルバルマブ地固め療法を受けた患者はいなかった。
CRT前にCT評価を行った213例のうち43例(20%)が、
効果判定の時点で肺臓炎を発症していた。
グレード2以上の症候性肺臓炎の発症について
危険因子として、
①V20が25%以上〔OR 2.37、P=0.008〕
②平均総肺線量MLDが10Gy以上(OR 1.93、P<0.0047)
が抽出された。
デュルバルマブ維持は肺臓炎のコントロールにかかっている
「PACIFIC試験」ではデュルバルマブによりPFSもOSも延長するという画期的な臨床成績が報告されています。データを見る限り実臨床では、切除不能Ⅲ期で根治的ケモラジが完遂できた症例に限れば行わない手はありません。
ただ実臨床ではケモラジ後の免疫治療において、やはり放射性肺臓炎や免疫治療による間質性肺炎の治療に関連する肺臓炎のリスクが、常に頭を悩ませていることは間違いありません。
齋藤先生は放射線治療科との連携を、三浦先生はRWDの重要性をそれぞれ強調されております。ぜひ斎藤先生と三浦先生の徹底検証を多くの肺癌診療に携わる医療者に読んで頂きたいと思っています。