『Pembrolizumab for management of patients with NSCLC and brain metastases: long-term results and biomarker analysis from a non-randomised, open-label, phase 2 trial』(Lancet Oncol 2020;21:655)より
まとめ
- 無症候性脳転移に対するぺムブロリズマブ単剤療法の頭蓋内奏効率は29.7%
要約
〇本研究はアメリカのエールがんセンターの症例で行ったオープンラベル、第2相試験。
〇18歳以上の少なくとも5-20mmの脳転移が一つ以上認められるIV期小細胞肺がんで未治療あるいは放射線治療後に増悪した症例で、神経学的所見に異常がないPS2以下の症例を登録した。
〇症例はぺムブロリズマブ単剤10mg/kg、2週毎で治療された。
〇症例群は2つのコホートに分けられた。
-コホート1:PD-L1 TPS≧1%
-コホート2:PD-L1 TPS<1%、未評価
〇主要評価項目はmRECIST評価による脳転移の奏効率とした。
〇42例が治療され、フォローアップの中央値は8.3カ月。
〇コホート1での脳転移奏効率は29.7%(37例中11例)であった。
〇コホート2に奏功例は居なかった。
〇治療に関連するグレード3-4の有害事象は2例の肺臓炎、体質的な症状、腸炎、副腎機能不全、高血糖、低カリウム血症を1例ずつ認めた。
〇治療関連有害事象は42例中6例で認め2例の肺臓炎、腎機能障害、腸炎、低カリウム血症、副腎不全を1例ずつ認めた。
〇治療関連死は認めなかった。
キュート先生の視点
本研究の結果からは脳転移を認めてもぺムブロリズマブ単剤で1/3は奏功する、という結果でした。実臨床では可能であれば追加で放射線照射を行う選択肢がありますので、もう少し制御されそうな印象があります。
この研究ではPD-L1が1%で区切られておりますが、本邦でぺムブロリズマブ単剤治療が行われる症例の多くはPD-L1≧50%ですし、≧1%であればケモコンボがなされているはずですので、今後の研究結果に期待されます。
個人的にはPD-L1抗体でどのくらいの脳転移奏効率があるのか、血管新生阻害薬が含まれるABCP療法での脳転移奏効率はどれくらいか、を見てみたいと思っています。