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【がん死亡が減る】受けるべき 6つの がん検診

★このポストは『国立がん研究センター 社会と健康研究センター がん検診ガイドライン』を参照にしています。

国立がん研究センターが勧める6つのがん検診

がん専門病院である国立がん研究センターが勧める

がん検診は以下の6つです。

 ①胃がん:胃透視/胃内視鏡検査

 ②大腸がん:便潜血検査

 ③肺がん:胸部X線±喀痰細胞診

 ④子宮頸がん:細胞診検査

 ⑤子宮頸がん:HPV検査

 ⑥乳がん:マンモグラフィー+視触診

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■胃透視検査(推奨グレードB)/胃内視鏡検査(推奨グレードB)

いずれの検査もがんによる死亡率を下げる証拠がある検査です。

胃透視検査は「バリウム」や「胃X線」とも呼ばれます。

バリウムを飲み込む時の誤嚥の報告がありますの。

いずれの検査も「対策型検診」「任意型検診」で推奨されています。

 

▶対策型検診:死亡率減少を目的とした検診のこと。公共の予防として行われる住民健診を指します。

▶任意型検診:人間ドックなど対策型以外の検診のこと。


■便潜血検査(推奨グレードA)

がんの死亡率を下げる証拠が十分にある検査です。

「対策型検診」でも「任意型検診」でも大腸がん検診として、免疫法での便潜血検査は強く推奨されます。

検診での大腸内視鏡検査は死亡率減少につながった、との報告はありますが、無視できない不利益があることから「対策型検診」としては勧められていません。

直腸診(肛門から指を入れて診察する)は、死亡率の低下につながらない証拠がありますので、がん検診として行うことは勧められていません。


■胸部X線検査(推奨グレードB)

一般的に「レントゲン写真」と言われる検査です。

がん死亡率を減らす証拠があり、「対策型検診」でも「任意型検診」でも行うことが推奨されています。

高危険群とは

 -50歳以上で喫煙指数(1日のタバコ本数×喫煙年数)≧600

 -40歳以上で6カ月以内に血痰(血混じり痰)があった

のことを指し、高危険群では胸部X線検査に加え、「痰細胞診」(痰を顕微鏡で見て、がん細胞のあるなしを見る検査)を併用します。

 

■細胞診検査(推奨グレードA)

■HPV検査(推奨グレードA)

いずれも子宮の入口を綿棒でこすって検査します。

 -細胞診(顕微鏡でがん細胞がいるかどうかを見る)検査

 -HPV(ヒトパピローマウイルスがいるかどうか)の検査

になります。

細胞診検査もHPV検査も浸潤がん罹患率低下の確実な証拠があります。

検査は自分で採る検査ではなく、医者が検査する方法が推奨されています。


■マンモグラフィ(推奨グレードB)

40-74歳においてマンモグラフィ(乳房のX線検査)は死亡率を減らす相応の証拠があります。

40-64歳を対象とした研究で、マンモグラフィと視触診を併用した検診が死亡率を減らす相応の証拠があります。

乳腺の超音波検査は死亡率減少を示した研究がなく、「対策型検診」として行うことは推奨されていません。

 

まとめ

がんの種類によっては早くに見つけることでがんによる死亡の可能性を防げることができます。

 

胃がん・大腸がん・肺がん・子宮頸がん・乳がんの5種類のがんと、それに関係する検診を国立がん研究センターは推奨しています。

コロナ禍になって3年が経過しようとしていますが、不要不急な病院受診が控えられてがん検診を受けていない方も多いのではないでしょうか?

 

コロナが落ち着いている時期を見計らって、がんの早期発見・早期治療とがんによる死亡を減らすために推奨されているがん検診をスケジュール通り受けて欲しいと心から願っています。

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